最新記事
健康

「朝ごはんは食べたほうがいい?」「短期間で痩せたい人におススメは?」健康法のウソとホントを医師が解説

2024年3月28日(木)16時00分
大坂貴史(医師)*PRESIDENT Onlineからの転載
糖尿病のリスクが高くなるのはどっち...医師「朝ごはんは食べたほうが健康にいいのか」の最終結論

PeopleImages.com - Yuri A-shutterstock

<運動はコツコツそれとも週末にまとめて? 糖質制限はダイエットに効果あるの? ...世間にあふれる健康・ダイエット法に医師が示す最終結論>

朝ごはんを抜くことで昼食後の血糖値が上がる

朝ごはんは食べたほうがいいのか。医師の大坂貴史さんは「朝食を食べずにいることで筋肉に重要なたんぱく質が1食欠けてしまうデメリットがある。また、朝ごはんを抜くことで昼食後の血糖値が上がり、2型糖尿病の人の血糖変動が大きくなる可能性が指摘されている」という――。

※本稿は、大坂貴史『75歳の親に知ってほしい!筋トレと食事法』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

まとめてよりコツコツ運動したほうがよい理由

運動にしろなんにしろ、コツコツ続けることはとても根気のいる難しいことです。夏休みの宿題も最終日にまとめてやる人もいらっしゃったのではないでしょうか。運動に関しても毎日継続してすることが大切だという考え方があります。

実際、アメリカ糖尿病学会の運動療法のガイドライン(※1)で有酸素運動の項目には「少なくとも週3日以上、中強度(150分以上)か高強度(75分以上)の身体活動を連続して2日以上運動しない日をつくらないこと」となっています。ここではコツコツ運動について掘り下げていきます。

さて、こまめの運動のメリットはなんでしょうか。これはズバリ、血糖値です。運動することによってインスリンが効きやすくなり血糖値が下がるという効果は長続きせず、1、2日ほどでなくなってしまうため、血糖値を下げるための運動としてはまとめてやるよりもコツコツするほうがよさそうと言われています。

とくに食事との関係は重要で、糖尿病をもっている人を対象とした研究ではないですが、食前よりも食後の運動の方が血糖値を下げる効果は高かったとされています(※2)。そのため、糖尿病に限定しないWHOの身体活動に関するガイドライン(※3)ではこの「2日以上運動しない日をつくらないこと」という文言はありません。

しかし、長らくこまめに運動したほうがよいのではないかというイメージが残っていました。

それに対するひとつの答えとして報告されたのが、2022年に発表された研究です(※4)。この研究では35万978人のアメリカの成人に対して自己申告の中等度強度以上の運動の量と死亡率について1週間のうちどのようなパターンで実施されたのかも含めて検討されています。

具体的には週3回以上の運動と週2回以下の運動の2パターンに分けています。約10年間の観察の結果、運動トータルの量が変わらなければ、週3回以上の運動でも週2回以下の運動でもその効果(すべての原因による死亡率の低下、心血管病とがんによる死亡率の低下)には変わりがなかったのです。

つまり、同じ量の運動量であれば、毎日コツコツやろうが、集中してまとめて実施しようが効果が変わらない可能性があるという重要な結果です。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-ウクライナ和平案、米と欧州に溝

ビジネス

豊田織機が株式非公開化を検討、創業家が買収提案も=

ワールド

クリミアは「ロシアにとどまる」、トランプ氏が米誌に

ビジネス

トランプ氏「習氏から電話」、関税交渉3-4週間で終
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 4
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 8
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 9
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 10
    アメリカ版文化大革命? トランプのエリート大学たた…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 5
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中