最新記事
ヘルス

腰痛リスクを低減できる「正しい座り方」とは? 「背もたれに寄りかかる」のがNGとは限らない

2023年9月19日(火)19時35分
熊田祐貴(柔道整復師、鍼灸師、花園駅前鍼灸整骨院院長) *PRESIDENT Onlineからの転載

すり足や小股でラクをするのはやめよう

また、歩く時にお腹を使えていないと背骨のS字カーブが失われ、地面からの衝撃が背中や腰まわりにダイレクトに伝わって腰痛になりかねません。坂道を上るような感覚で歩いてお腹をしっかりと使い、腰痛を予防しましょう。

ところでなぜ、お腹を使った歩き方ができないのかというと、お腹を使わずに歩くほうがラクだから。お腹の筋肉を使えていない人は、脚を持ち上げられずにすり足気味だったり、そろそろと小股で歩いたりしているはずです。恐らくラクな歩き方がクセになっているのでしょう。

脚を高く上げて大股で歩くほうが足腰に適度な負荷がかかるため、必然的に筋力低下を防ぐことができるのですが、人間はついラクなほうに流されてしまうのです。

このように歩き方ひとつとっても、日常生活の中でいかに筋肉を使っていないかがわかります。ラクする日常生活=ふだんからラクな動き方をしていると筋力が低下して、ちょっとからだを動かしただけで疲れやすかったり、からだに痛みが出たりして、からだ全体が「弱く」なってしまうのです。

座る時もお腹に力が入っているかが重要

正しい座り方(座位姿勢)も運動学で定められています。座り方の種類はさまざまあり、椅座位(イスに座った状態)、長座位(上半身を起こして両足を伸ばした状態)、半座位(上半身を45度程度起こした状態)などと呼びます。ここでは椅座位について説明します。

イスに座った時の姿勢の取り方のポイントはまず、あごを引くこと。この時、お腹に力が入るかが重要になります。ただ、座っている時にお腹の筋肉を使っているかどうかは、なかなか実感できないと思います。あごを引くとお腹に力が入るという感覚をつかむために、簡単なセルフチェックをしてみましょう。

イスに深く腰かけた状態で、視線を落とさずに人差し指であごを押してみましょう。後ろに倒れないようにするために、お腹にぐっと力が入りませんか? これが座位姿勢でのお腹の力の入れ方で、からだが軸からブレた時に力を発揮するのが、体幹の深部にある腸腰筋なのです。

1日平均7時間座る日本人に大事な筋肉

図表2の右図のようにあごが前に突き出ていると、腸腰筋に力は入っていません。また、あごを引いた時に顔が下を向いてしまっていても、腸腰筋に力が入りません。左図のように顔と視線はほぼ水平を保ったまま、あごを引くようにしましょう。

図表2 正しい座り方(坐骨座り)と悪い座り方
出所=『読んで防ぐ腰痛の本

直立同様、座位の場合も姿勢保持のために抗重力筋が重要な役割を果たしています。腸腰筋も抗重力筋の一部で、抗重力筋がはたらいているかどうかは実感しにくいのですが、1日平均7時間も座っている日本人にとっては特に大事な筋肉です。

座位の場合も見た目の「形」ではなく、どこの筋肉を使っているかが重要になります。

企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

高市首相、中国首相と会話の機会なし G20サミット

ワールド

米の和平案、ウィットコフ氏とクシュナー氏がロ特使と

ワールド

米長官らスイス到着、ウクライナ和平案協議へ 欧州も

ワールド

台湾巡る日本の発言は衝撃的、一線を越えた=中国外相
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナゾ仕様」...「ここじゃできない!」
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 5
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    【銘柄】いま注目のフィンテック企業、ソーファイ・…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中