最新記事

動脈硬化の原因となり毎年50万人超が死亡 米国で禁止され日本では使われている「絶対に口にしてはいけない」食品とは...

2023年6月23日(金)12時38分
デイヴィッド・ローベンハイマー、スティーヴン・J・シンプソン *PRESIDENT Onlineからの転載

市販のアイスのヤバい原材料

たとえばアイスクリームは、クリームと砂糖、果物などのフレーバーだけを使って、家庭でつくることができる。では大量生産された市販のアイスクリームの製造に一般的に使用される原材料を見てみよう。

石けんや合成洗剤、合成樹脂、香水にも使われる「酢酸ベンジル」。染料やプラスチック、ゴムにも使われる「C-17アルデヒド」。燃料ガスのブタン由来で、医薬品や殺虫剤、香水にも用いられる「ブチルアルデヒド」。ひと昔前、病院でアタマジラミの駆除に使われていた「ピペロナール」。糊やマニキュアリムーバーにも使われる「酢酸エチル」。リストはまだまだ続く。

そして市販のアイスクリームは、私たちの食事の無視できるほど小さな要素ではない。2018年のアメリカのアイスクリームの年間消費量は約200万キロリットル、1人当たりでは約6.12リットルにも上った。アイスクリームが、こうした原材料を含む超加工食品の1品目でしかないことを考えると、さらに不安になる。

ほかにも大量生産されたキャンディやチョコレート、ケーキ、パン、ピザ、ポテトチップス、朝食用シリアル、サラダドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ等々、多すぎてここには掲載しきれないほどの品目があるのだ。

ラベルでは「合成香料」とだけ表示される

2018年にオーストラリアで販売されていた加工食品の61%が、NOVAグループ4に該当した。2016年に新しく発売された食品・飲料製品の数は2万1435品に上ったが、これらのほとんどが超加工食品だった。

私たちが体内に送り込んでいる奇妙な化学物質のカクテルがどんなものか、想像がつくだろうか。これらが有害かどうかは重要な問題だが、それは線引きがとても難しい問題でもある。有害性が疑われるものもあれば、確実に有害なものもある。

たとえばアメリカ食品医薬品局(FDA)は2018年10月、動物実験で発がん性の証拠が得られたとして、超加工食品に合成香料として使われていた8種類の添加物の使用を禁じた。ベンゾフェノン、アクリル酸エチル、オイゲニルメチルエーテル、ミルセン、プレゴン、ピリジン、スチレンである。

最初に挙がったベンゾフェノンについては、食品と直接接触するゴムの製造に使用することさえ禁じられた。なのに、これを執筆している間も、またもしかするとあなたがこれを読んでいる今(原書刊行時)も、これらの化学物質は大手を振って食品に使われている可能性がある。

なぜならFDAの決定後2年間は、使用が認められるからだ。だがどの食品に使われているかを知るすべはない。食品メーカーには、ラベルに「合成香料」以上の詳細を表示する義務はないのだから。

ガジェット
仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、モバイルバッテリーがビジネスパーソンに最適な理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EU、ウクライナ支援で2案提示 ロ凍結資産活用もし

ワールド

トランプ政権、ニューオーリンズで不法移民取り締まり

ビジネス

米9月製造業生産は横ばい、輸入関税の影響で抑制続く

ワールド

イスラエル、新たに遺体受け取り ラファ検問所近く開
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 6
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    トランプ王国テネシーに異変!? 下院補選で共和党が…
  • 9
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 10
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中