悪癖の原因は「意志の弱さ」ではない──脳の仕組みを知って悪習慣ループを脱出せよ
HOW TO BREAK THE HABIT LOOP
もう1つの案は、フェイスブックで情報が共有されればされるほど、その投稿が上位に表示される仕組みの見直しだ。現在、フィードに表示されるコンテンツの位置を決定するアルゴリズムによって、フィードの上には「いいね!」の多いコンテンツが表示されるようになっている。これについてウッドは、検証されていないニュースコンテンツは、モデレーターに承認されるまで表示の優先度を下げるよう提案している。
また、「シェア」や「いいね!」ボタンに加え、「ファクトチェック」や「スキップ」ボタンを追加すれば、ニュースを習慣的にシェアする行為を抑制できるという。
このように習慣の引き金となるキューを除外するか変えてしまえば、習慣的に情報をシェアしているユーザーも偽情報をシェアする前に立ち止まって考えるようになるだろう。
この考え方は、新年の誓いを継続する際にも活用できる。例えば、仕事帰りにジムに通うなど、何かを習慣化しようとしたとき、その計画を台無しにする視覚的なキューに注意することが大切だという。
ウッドによると、エクササイズをするという一年の計を立てた人にありがちなのは、仕事の後に運動しようと決めても、帰宅するといつの間にかテレビの前に寝転がって、ポテトチップスを食べてしまっていることだ。このとき大半の人は意志の弱さのせいと考え、「今日はすごく疲れているから」「やる気が出ない」「そもそも運動に向いてないんだ」などと自分に言い聞かせる。
だが、ジムに行かなかった本当の理由は違う。帰宅した際に見慣れたキュー(ソファとキッチン、置いてあったポテトチップスの袋など)が目に入り、反射的に習慣性のある行動を取ってしまったのだ。
解決策は、ジムに行く前に自宅で一連の習慣的な行動を促す視覚的なキューを目にしないようにすること。ジムに直行するか、新しい行動を促すきっかけをつくることだ。エクササイズを始めたいなら、ネガティブなきっかけを避けるだけではなく、ポジティブなきっかけを加え、エクササイズしやすい環境を整えるのが肝心だとバークマンは指摘する。
そこで彼が提案するのは、時間を確保し、ランニングシューズを「目立つ」場所に置くなど、環境に物理的な変化を与える方法だ。その行為を楽しいものだと思わせ、新しい習慣を確立する「ニンジン」をぶら下げることも重要だという。
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