老後は公的年金だけで大丈夫 プロが見直しを勧める「60代後半がハマる無駄遣い」とは
図表2のデータをご覧ください。介護にかかる費用は、住居のリフォームや介護用ベッドの購入といった一時的な費用の平均が74万円、月々の費用が平均8.3万円となっています。また、介護期間は平均で61.1カ月ですから約5年ということ。この数字から算出すれば、介護費用は、一人あたり500万~600万円必要だろうということがわかります。ただし、期間は単純な平均ですから、1年未満の人もいれば、10年以上介護が続く人もいます。介護期間の長さに応じて必要な費用も変わります。
民間介護保険に加入しても、10万~30万円程度の一時金が1回だけもらえるといったタイプのものが多いようです。また、要支援1・2や要介護1など介護度が軽い場合は、保険がおりないものもあります。そうなると、やはり頼りになるのは退職金ということになるでしょう。
サブスク、通信費、住まい、マイカー見直しのポイント
保険以外にも、数々の無駄が家計にはひそんでいます。
たとえば、スポーツジム、テレビの有料チャンネル、定額制の動画配信サービスなど。使っていないのに会費が口座から自動引き落としになっているものはありませんか?
スマホも、ずっと大手の通信会社一筋ならば、格安スマホなどに乗り換えれば、かなり通信費が抑えられます。どうしてもキャリアを変更したくない場合は、オプションやプランの見直しをしてみてください。とくに昔からずっとプラン変更をしていないという人は、当時より安いプランがある可能性が高いと思います。
そのほか、なんとなく習慣でやめられなくなっている新聞や雑誌の定期購読も、本当に必要かどうか考えてみてください。
これらを見直しただけでも、月に1万~3万円くらいの無駄は減らせるでしょう。
また、自家用車を持っている人は「いつまで運転するのか」ということを検討すべきです。定年後の買い替えの回数が1回で済むのか2回必要かでは、一時出費の予算も変わります。車は不要と判断すれば、維持費やガソリン代などでかなりのお金が浮くでしょう。
もっと大きなものでいえば、家の問題があります。今の家をリフォームして住み続けますか? それとも夫婦2人でもっとコンパクトな家に住み替えますか? 仮に自宅を売却し、暮らし方そのものをダウンサイジングすれば、さらにお金を貯えられると思います。
人生を楽しむお金はケチらない
老後のお金の管理は「年金の範囲内に日常生活費を収める」「医療や介護に備えて退職金または貯蓄は取り崩さない」という2つのことを守るだけ。あとのお金は、どう使っても自由です。
とくに、60歳以降に働いて稼いだお金は楽しみに使うための収入です。大いに好きなことに使いましょう。このお金なら世界一周旅行に使おうが、お店のオープン資金に使おうが、自分の勝手です。
「つみたてNISA」などで運用していたお金も、必要なときに必要な分を売却して、使ったほうがいいと思います。
よく、株や投資信託などの値動きがあるリスク資産は、ある程度の年齢になったら、元本割れしない預金などの安全資産に移して管理しましょうといわれます。しかし、そんなめんどうなことはしなくていいのです。
全部の財産を株や投資信託で持つのは危険ですが、必要なキャッシュは退職金でキープしてあるのですから、運用で出た利益も好きなことに使えばいいでしょう。