老後は公的年金だけで大丈夫 プロが見直しを勧める「60代後半がハマる無駄遣い」とは
老後は見栄を張る必要がなくなる
人生を充実させるために使うお金は、無駄な支出や浪費ではありません。ただし、お金を使う前に「自分は何がしたいか」「何がほしいのか」を考え抜くことが必要です。
そのうえでお金を使う基準は、自分の価値観で決めればいいと思います。他人に「なぜそんなもの買うの?」といわれても、自分が心底ほしければ気にする必要はありません。
むしろ、老後は、「義理、見栄、恥」のためにお金を使うのはNGです。「義理欠く、見栄欠く、恥欠く」の「サンカク」を実践しましょう。リタイア後は、義理でお歳暮やお中元を贈るとか、見栄をはって高級ブランドのスーツにお金をかける必要はありません。
それらをやめても、誰も気にする人はいないでしょう。自分が気にするほど、まわりはあなたのことを気にしていません。
90歳で全財産を使い切っても一生お金に困ることなし
定年まで勤め上げた人であれば、好きなことにお金を使い、やりたいことをやって、90歳ぐらいまでに財産を使い切ってしまっても、なんの心配もありません。日本では、それでもお金に困ることなく暮らすのはむずかしくないのです。なぜなら、生きているかぎり公的年金が支給されるからです。
90歳にもなれば、今よりずっと生活費も減りますから、年金があれば死ぬまで安泰です。
もちろん、施設入居費ぐらいは最後まで手をつけないほうがいいと思います。それで施設に入らずポックリ逝ったときは、遺言書で配偶者や子どもに相続させるなり、希望するところに寄付するなり、お金の行き先を自分で決めておけばいいのです。
「いい人生だった」と思えるよう、リタイア後は大いに人生を謳歌しましょう。
大江加代
確定拠出年金アナリスト
1967年愛知県生まれ。野村証券で一貫してサラリーマンの資産形成業務に携わり、2012年に独立。確定拠出年金の分野においてはわが国の草分け的存在で、厚生労働省社会保障審議会委員、および内閣官房「資産所得倍増分科会」構成員を務める。主な著書は『「サラリーマン女子」、定年後に備える』(日経BP)、『iDeCoのトリセツ』(ソシム)等。テレビやYouTubeでもiDeCoの専門家としてざまざまな番組やチャンネルでコメントをしている。