勉強する子もしない子も「スマホを触るとバカになる」は本当 7万人調査で判明「スマホと学力」の関係
この状況はまずい、と考えた私は『スマホが学力を破壊する』『スマホが脳を「破壊」する』と題した本を18年と19年に出しました。日本では、まだほとんど誰も警鐘を鳴らしていないころでしたが、それでも遅すぎたか、と思っているくらいです。
勉強する子もしない子も、スマホを使えば「学力低下」
子どもたちの学力を、スマホが確実に"破壊"している。
しかも、保護者や教師をはじめ大人たちが「そりゃ、スマホをやりすぎれば、成績はいくらか落ちて当然でしょう。試験前にはスマホを控えめにしなくちゃね」などと安易に思っているより、はるかに深刻な悪影響が子どもたちの学習に及んでいて、彼らの日常を浸食しているのです。
──この衝撃の事実に私が最初に気づいたのは、平成25(2013)年度に宮城県仙台市で実施された「標準学力検査」と「生活・学習状況調査」の結果を目にした瞬間でした。
まず、グラフをご覧ください。仙台市立中学校に通う全生徒2万2390名を対象とした学力検査と、生活・学習状況の調査データをもとにつくったものです。
出所=『オンライン脳 東北大学の緊急実験からわかった危険な大問題』
縦軸は、実際に教室でおこなった数学テストの平均点を示します。横軸は、スマホの平日1日の使用時間を示します。左端の「まったく使用しない」(0時間)から、右にいくほど1時間刻みで使用時間が長くなり、右端は「4時間以上」と、6つのグループに分けてあります。
使用時間は、携帯電話やスマホを平日どのくらい使っているか生徒にアンケート調査した回答、つまり生徒たちの自己申告によります。
アンケート調査の質問原文は、「ふだん(月曜から金曜日)、1日当たりどれくらいの時間、携帯電話(スマートフォンもふくむ)でメールやネットゲームをしたり、インターネットを見たりしていますか」です。
さらに私たちは、横軸で時間分けした6グループそれぞれを、自宅での平日の勉強時間の長さで①30分未満、②30分~2時間未満、③2時間以上の3グループに分けて解析しました。ですので、6グループそれぞれが3本ずつの棒グラフになっています。以上の勉強時間も、生徒たちの自己申告によります。
スマホを触れば「勉強時間」が無駄になる
このグラフは、いったい何を示しているのでしょうか。グラフから読み取れることを、お話ししましょう。
最初にわかるのは、「家での学習時間が長いほど成績がよい」という当たり前の事実です。「家庭での学習時間が2時間以上」の白い棒グラフは、「30分も勉強しない」の黒や「30分~2時間」のグレーより高くなっています。