最新記事

子育て

だまし絵、塗り絵、セルフ絵画展──家庭で育む子どもの「アート思考」

2022年10月12日(水)11時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

また、「有名な絵を飾っておくだけ」といった試みをした友人もいます。

――ただ絵を飾っておけばいいのでしょうか?

はい。「脳×教育×IT」をテーマにしたベンチャーを立ち上げた脳神経科学者の青砥瑞人さんは生後1~2カ月からお子さんのために「ウィークリーミュージアム」を実践しました。1週間ごとに「クリムト展」「ピカソ展」とテーマを決めて、プリントした絵画作品をベビーベッドの周りに貼り、展示していたそうです。

感性を育むには、非言語的なものにどれだけ触れているかが重要になると言います。手軽に真似できますし、面白いアイデアですよね。

――たくさんのアイデアをありがとうございます。逆に、気を付けないといけないことはありますか?

大人が注意したいのは、子どもが描いた絵に「何か」を見出そうとすることです。

「それはハートかな?」と聞くと「大根だよ」と私たちが想像もしなかった回答が返ってくることがありますよね。大人が決め付けずに、あんな風にもこんな風にも見えるねとお子さんと会話をすることを楽しんでみてください。

それは子どもの世界を尊重することにつながり、興味を持ってもらえているとお子さんの喜びや自信へとつながっていくと思います。

――最後に子育て世代の読者にメッセージをお願いします。

子どもは、小学校低学年くらいまでは自由に表現ができるものです。ところが高学年に差しかかると自我の高まりや社会性を帯びることで、自分と向き合う機会が減り、創造性を育む力を急速に失っていきます。

親であれば、わが子には創造的な子どもに育ってほしいと願う人が多いはずです。絵本のような身近なツールを使って、幼児期から自然とアート思考を育む環境を作っていただければと思います。

kurutto_book.jpgくるっと だーれ?
 かしわらあきお 著
 主婦の友社

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

kunitake_sato2.jpg

佐宗 邦威(さそう・くにたけ)

多摩美術大学特任准教授、戦略デザインファーム「BIOTOPE」代表。 東京大学法学部卒。イリノイ工科大学デザイン学科(Master of Design Methods)修士課程修了。P&Gにて、ファブリーズ、レノアなどのヒット商品のマーケティングを手がけたのち、ジレットのブランドマネージャーを務めた。ヒューマンバリュー社を経て、ソニークリエイティブセンター全社の新規事業創出プログラム(Sony Seed Acceleration Program)の立ち上げなどに携わったのち、独立。『直感と論理をつなぐ思考法』『模倣と創造 13歳からのクリエイティブの教科書』著者。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB幹部、EUの経済結束呼びかけ 「対トランプ」

ビジネス

ECBの12月利下げ幅巡る議論待つべき=独連銀総裁

ワールド

新型ミサイルのウクライナ攻撃、西側への警告とロシア

ワールド

独新財務相、財政規律改革は「緩やかで的絞ったものに
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    巨大隕石の衝突が「生命を進化」させた? 地球史初期…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中