最新記事

子育て

だまし絵、塗り絵、セルフ絵画展──家庭で育む子どもの「アート思考」

2022年10月12日(水)11時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

――「3歳からのアート思考の養い方」など、子育て層がターゲットの雑誌でもアート思考への興味関心は強いようです。

一つには、子どもたちがこれから大人になっていく中で「人間にしかできないことはなんだろう」と突き詰めたときに、アートが切り口として出てきているというのが僕の理解です。

例えば、美しいと感じることはその人にしかできないことですし、コンピューターを使って作っていくことも自分にしかできないこと。コンピューターが広がっていく世の中だからこそ、ただ論理的思考を学ぶのではなく、アート思考やプログラミングが必要になっているのではないでしょうか。STEAM教育もそうですが、子どもの創造性を育むことの重要性が認識されてきたと感じています。

――子どもたちのアート思考をどう育てたらよいか、悩んでいる親御さんも多いと思います。何かおすすめの方法はありますか?

お子さんと絵本を一緒に読むのはおすすめです。大人は、言語として概念化したものをベースに活動しているのですが、子どもの場合は自分の体感や体験、イメージなどで概念を作っています。前提となる概念がない状態で物事を認知できる絵本は、アート思考を育てる上で自然なフォーマットということができます。

絵本やアートブックを親子で一緒に眺め、お互いに感じたことを話し合う機会を作ってみてはいかがでしょうか? 私は読後の子どもとの会話を重視していて、読んだ絵本について「何が面白かった?」など、問いかけをするようにしています。『くるっと だーれ?』のように、逆さまにすると違う絵が現れる、だまし絵の絵本を親子で一緒に楽しむこともイメージ脳(右脳)を育むのに有効なアプローチです。

kurutto2.jpg

『くるっと だーれ?』より

――逆さまにして違う絵になるなんて、面白いですね。

逆さにするといえば、アートを勉強する際に、ピカソなどの作品を逆さまにして、そのまま模写していくエクササイズもあります。逆さにすると一見、意味がない線の集まりに見えるので、ありのまま、線の集まりとしてその物体を見るようになります。

実はそれがイメージ脳のモノの見方になっているんです。その形をじっと観察し、さらに一つの形から複数の意味を見出すことで複眼的な視点を持てるようになるのです。

――絵本を楽しみながら複合的な視点を持てるようになるなんてすごいですね。

そのほか、「塗り絵をする」こともおすすめです。私も実践しているのですが、有名なアート作品などを、簡単でいいので親がスケッチして、「色を塗ってみよう」と子どもに渡してみてください。「パパやママと一緒に完成させる塗り絵」ということで、子どもの反応が市販の塗り絵とは段違いに良くなると思います。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中