最新記事

自己啓発

アンガーマネジメント、6秒我慢しても逆効果 自衛隊メンタル教官直伝「怒りを一瞬で消す方法」とは

2022年6月14日(火)20時00分
下園壮太(心理カウンセラー) *PRESIDENT Onlineからの転載

もちろん、すぐに離れることができないシチュエーションもあるでしょうから、工夫が必要です。例えば、感情コンピュータの使用言語をうまく活用し、イメージの中で距離を取る、イヤホンやスマホの動画をうまく使う、他者と話す、電話をする、深呼吸をする......。そのような対処の代替案の1つとして、必死に数を数える(6秒)というのも有効な手です。

原則だけはしっかり理解して、たとえ6秒ルールがうまくいかなくても、いたずらに自分を責め、自信を失わないようにしておきたいものです。

仏教の教え「自分を変える」で怒りは手放せる?

怒りっぽい自分を何とかしたくて、宗教の門を叩(たた)く人もいるでしょう。

これも、うまくいく人とそうでない人がいますが、うまくいかない人の場合、実はアンガーマネジメントのときと同じように、「感情の強度を誤解している」「最初から強い敵を狙っている」場合が多いのです。

仏教などは、日本の文化になじみがあります。ですから、確かに親しみやすい教えも多いでしょう。しかし、お経の中などでも教えられているのは、基本的にはアンガーマネジメントと同じ、「自分(価値観)を変える」です。その中でも、欲望をなくすことと、感謝の念を持つことが、強調されているようです。これも、本当に「正しい」ことです。

ところが、こうしたことは、修行中の僧侶が、お寺などの限定された環境の中で、長い時間をかけて、ようやく怒りに対処できるようになった、そのときのコツなのです。

つまり、訓練されたお坊さんが、周囲も分別のあるお坊さんたちに囲まれ、世俗の煩わしさから解放されたお寺で生活するという、かなり恵まれた環境の中でようやく「欲望を消したり」「感謝したりすること」ができ、その結果、怒りをコントロールできるのです。

修行を積んだお坊さんでも、世俗に帰って、邪悪な人々と接したり、理不尽な世の中にもまれてしまうと、せっかく身につけた怒りへの対処が効果なく、「元の木阿弥」になってしまうこともあるでしょう。

だから、単純に「感謝しなさい」とか「己を捨てなさい」と言われても、普通の人には、かなり難しい課題なのです。そのコツだけで、すぐ怒りという強敵に対抗できるものではない、ということを知っておく必要があります。

「感謝できない」自分を責めないで

考え方や価値観を変えるのは、怒りを発生させないためには、とても重要なことです。

ただ、1段階の人でも、かなりの努力と時間がかかる、とても厳しい課題であることを忘れてはいけません。やろうと思っても、普通はできないものなのです。

ましてや、今イライラを何とかしなければと思っている2段階・3段階の人には、無理な課題です。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

FRB利下げ「良い第一歩」、幅広い合意= ハセット

ビジネス

米新規失業保険申請、3.3万件減の23.1万件 予

ビジネス

英中銀が金利据え置き、量的引き締めペース縮小 長期

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 5
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 8
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 9
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 10
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中