最新記事

自己啓発

アンガーマネジメント、6秒我慢しても逆効果 自衛隊メンタル教官直伝「怒りを一瞬で消す方法」とは

2022年6月14日(火)20時00分
下園壮太(心理カウンセラー) *PRESIDENT Onlineからの転載
鏡に怒りと笑顔を映し出す女

あなたは怒りの感情をどうやって治めていますか? PeopleImages - iStockphoto


今話題のアンガーマネジメント。「6秒ルール」や「仏教」に頼ってもなかなか怒りを消すことができないのはなぜなのか。自衛隊メンタル教官である下園壮太さんは「我慢よりも距離が大切だ」という――。

※本稿は、下園壮太『自衛隊メンタル教官が教える イライラ・怒りをとる技術』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

「6秒ルール」は怒りを消すどころか火に油......

アンガーマネジメントには、私たちにいろんな気づきを与えてくれる内容が多数あります。「6秒ルール」もその1つです。これは、強い怒りも6秒やり過ごせば、そのピークを過ぎる。なんとかその6秒を耐えましょうね、というスキルです。

この6秒ルールというのは、通常の怒りの場合、「3段階(3倍モード)の怒り」(図表1)が、数秒で消えていくことを教えてくれています。その間、気持ちの暴発をやり過ごし、「相手を罵倒してしまう」などの言動を防止するのは、怒りの外的エスカレーションを防ぐ点でとても意味のあることです。しかも、6秒だったらやれそうな気がします。「使える」感じです。

reuters__20220614200821.jpg

しかし現実は、6秒数えても、目の前にその相手がいて不服そうな顔で文句を言ってきたら、怒りはすぐ爆発してしまいます。むしろ、6秒我慢した分、逆に勢いがついてしまうことも。これが「使えない」という実感になります。なぜそうなるのか。これは原始人をイメージすると理解しやすくなります。

怒りのピークが収まるのは、危険が低下している場合です。一触即発の間合いでは、戦闘モードを解いてはいけません。

怒りを一瞬で消す"最も"効果的な方法とは

6秒が重要なのではなく、「距離」が重要なのです。

例えば、数メートル離れれば、鉄拳は飛んできません。

10メートル離れれば、戦闘だけでなく、逃げるという選択肢も生まれます。

怒りの感情をやり過ごすには、6秒ルールよりも、直ちに「その場を離れる」。それが最も効果のある方法です。

具体的には、化粧室に行く、喫煙所に行く、コンビニに行く、電話だと言って席を外す......など。対象が視界から消え、できれば音(声)も聞こえないところに行くと、自然と怒りは2段階に落ちてくれます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米中小企業、26年業績改善に楽観的 74%が増収見

ビジネス

米エヌビディア、株価7%変動も 決算発表に市場注目

ビジネス

インフレ・雇用両面に圧力、今後の指標に方向性期待=

ビジネス

米製造業新規受注、8月は前月比1.4%増 予想と一
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中