最新記事

自己啓発

マウンティングはどこまで我慢すべき? 名医が教える「絶対に付き合ってはいけない人の条件」

2022年5月23日(月)11時35分
小林弘幸(順天堂大学医学部教授) *PRESIDENT Onlineからの転載

人間関係のストレスは相手があってのことです。しかし、他人をコントロールする術はありません。それならば、自分がアクションを変えることによって、自分の身を守るしかありません。

嫌いな相手に何を言われようが、何が起きていようが、余計なことは見ないし聞かない。もちろん、何も言わないし反応しない。

そうすることによって、自分と相手との間にはっきりした線引きができ、心の平穏を守ることができます。

その相手はコンディションを崩してまで付き合う価値があるか

小林弘幸『気がついたら自律神経が整う「期待しない」健康法』(祥伝社)「そうはいっても仕事上の取引を考えると付き合いを切ることはできない」という相手もいるでしょう。ビジネスには確かに人脈が重要です。また、親族との付き合いなどのように簡単には切れない関係性は確かに存在します。

しかし、「だから仕方ないのだ」と思考停止してしまっては、いつまで経ってもストレスは減りません。

そんなときは、ぜひとも次のように自問してみてください。

「その相手はあなたがコンディションを崩してまで付き合う価値のある、本当に大事にすべき存在ですか?」
「今のような我慢を重ねて関係性をつなぎ止めることで、あなたの人生はよりよいものになりますか?」

もしも答えがノーならば、相手との間に距離を置くべきでしょう。

さまざまな事情があって「それでも付き合い続けなければならない」というのであれば、「三猿」対応に徹して、せめて自分の意識の上で相手との間にしっかりと線を引きましょう。

カチンとくることを言われても淡々と聞き流し、相手にしない。

自分から相手の機嫌を取りに行くようなことはしない。

無理なことは安請け合いせず、無理だときっぱり伝える。

この三つを心がけるだけでも相手と同じ土俵に上がらず、平常心でやり過ごせるようになります。もちろん、ストレスも格段に減らせるはずです。

私は職業柄、余命宣告をされている患者さんと接することも多くあります。

そんな人たちを見て感じるのは、「我慢をしたまま人生を終えるのは悔いが残る」という事実です。余命わずかとなった人たちの多くは、人生を振り返って「もっと自由に生きればよかった」という後悔を口にします。

周囲の顔色をうかがい、空気を読み、我慢を積み重ねた先に残るのが、後悔だけだとしたら? そのまま一生を終えてしまうのは、あまりにもつらすぎます。

人生は、我慢をし続けることが当たり前ではありません。自分にストレスを与えている原因との付き合い方について、もう一度考えてみてください。

小林弘幸(こばやし・ひろゆき)

順天堂大学医学部教授
1960年、埼玉県生まれ。スポーツ庁参与。順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科講師・助教授などを歴任。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートやアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも携わる。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した"腸のスペシャリスト"としても有名。近著に『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)、『名医が実践! 心と体の免疫力を高める最強習慣』『腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず 免疫力が10割』(ともにプレジデント社)。新型コロナウイルス感染症への適切な対応をサポートするために、感染・重症化リスクを判定する検査をエムスリー社と開発。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中