最新記事

ヘルス

唐揚げ、豚カツ、フライ......「長生きするなら揚げ物を食べなさい」 在宅医療の第一人者が断言する理由とは

2022年3月11日(金)10時40分
佐々木 淳(医療法人社団悠翔会理事長・診療部長) *PRESIDENT Onlineからの転載

おやつは何歳になっても毎日の楽しみ、という方も少なくないと思います。

太ってはいけない、という呪縛がなくなったいま、いろんなスイーツを試してみながら、日々の「食べる喜び」を満喫してはいかがでしょうか。

食欲がないときは「チョコとアイス」がおすすめなワケ

持病や体調不良があると、病気によってエネルギーを消耗するため、より多くのカロリーを摂らなくてはなりません。「今日はちょっと熱っぽいな」「どうも体調がすぐれないな」といったときほど、がんばってより多くのカロリーを摂取しなくてはならないのです。

そうはいっても、どうしても食欲が湧かないというときはありますよね。いつものように食べられないときは、どうしたらいいのでしょうか。

いちばん避けるべきは食事を抜いてしまうこと。なので、少量でもいいから、食べられそうなものを食べられるだけ食べてください。そして、できるだけ「少量でもカロリーが高いもの」を口に入れるようにするとよいでしょう。

私のおすすめは、チョコレートとアイスクリームです。両方とも少量で高いカロリーを確保することができます。板チョコは1枚で約400kcal、半分でも200kcal摂れます。乳脂肪分の多いアイスクリームのミニカップはだいたい260〜300kcal。これらを食べれば、そこそこのカロリーを摂れるのです。

特にアイスクリームはすぐに口内で溶けて舌やのどが冷たく感じるので、熱っぽいときでものどに痛みがあるときでも、食べやすいと思います。

甘いもの嫌いなら「ナッツ」をつまむ

また、スナック系だとかりんとうが少量で高カロリー。100g食べると約450kcal摂ることができます。食欲がないときでも「甘いものなら食べられそう」という方は、こういった食品を積極的に活用していくといいのではないでしょうか。

甘いものがあまり好きでないなら、ナッツ類を食べるのもおすすめです。

アーモンドやピーナッツも10粒で60kcal。カシューナッツ、ピスタチオ、くるみなど、ナッツ類はどれもカロリーが高めです。ちょこちょこつまめば、けっこうなカロリーを摂れることになります。

高齢になったら、どんなに食欲がなくても、こういった「熱」や「力」になりそうなものを少しでも口に放り込んでおくことが重要なのです。

「体調が悪い→おかゆ」は黄金の方程式ではない

books20220309.jpg逆に、実はあまりおすすめできないのが「おかゆ」です。おかゆではカロリーが決定的に足りません。普通に炊いたごはんは一膳約200kcalですが、おかゆだと半分の約100kcalになってしまいます。

熱が出て体温が1度上がると、それだけで約200kcalの熱量が消耗されます。2度上がれば約400kcalです。つまり、おかゆの100kcalでは、この熱が上がって消耗した分のカロリーすらまかなえないことになってしまいます。

こんな状態を高齢者が何日も続けていたら、風邪をひいて寝込んでいるうちに、低栄養状態になってしまいかねません。

もちろん、食事が喉を通らないほど具合が悪いときは、水分をとったりおかゆを食べるので精いっぱい......ということもあると思います。ただ、もし食べられるのであれば、これからは「食欲がない→おかゆ」という発想を捨て、新たな健康常識として「食欲がない→チョコレート&アイスクリーム」を身につけるようにしてみてください。

佐々木 淳(ささき・じゅん)

医療法人社団悠翔会理事長・診療部長
1973年京都市生まれ。1998年筑波大学医学専門学群を卒業後、社会福祉法人三井記念病院に内科研修医として入職。2004年東京大学大学院医学系研究科博士課程に進学。大学院在学中のアルバイトで在宅医療に出会う。2006年大学院を退学し在宅療養支援診療所を開設。2008年法人化し、現職。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

原油先物、週間で4カ月半ぶり下落率に トランプ関税

ビジネス

クシュタール、米当局の買収承認得るための道筋をセブ

ビジネス

アングル:全米で広がる反マスク行動 「#テスラたた

ワールド

トルコ中銀が2.5%利下げ、インフレ鈍化で 先行き
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに
  • 4
    一世帯5000ドルの「DOGE還付金」は金持ち優遇? 年…
  • 5
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 6
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 9
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 10
    34年の下積みの末、アカデミー賞にも...「ハリウッド…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中