最新記事

0歳からの教育

遺伝か、生活習慣か、訓練か、子どもの運動能力を決めるのは?

2021年12月22日(水)19時55分
岡田光津子(ライター)

はだしで遊ぶことの効果

3歳以降になると、外遊びも楽しくなってくる頃だ。

子供の運動教室「ウィンゲートキッズ」などを展開しながら、順天堂大学大学院博士課程において幼少期の体力測定の研究にも携わっている遠山健太によると、「3~5歳の間に十分に体を動かして遊び、体を動かす楽しさを覚えさせてからスポーツを始めると、その動きに入っていきやすくなる」という。

そこで、この時期に留意しておきたいのが、遊び場所の確保とサイズの合った靴選びだ。

遊び場所については、たとえ1つ2つの公園に行ってみて気に入らなかったとしても、少し足を伸ばして公園のロケハンをしてみると案外掘り出し物が見つかることがある。河川敷や広い原っぱ、山の中も立派な遊び場になるので、こうした場所も候補に入れてみるといい。

危険なものが落ちていない場所であれば、はだしで遊ぶことも推奨している。

「解剖学的にみると、私たちの足には、指の付け根を結ぶアーチ、足裏の内側のアーチと外側のアーチと3つのアーチがある。はだしで動くとこれらのアーチがしっかりできるようになる。すると、足裏でバランスを取ったり、足指で地面を蹴って歩けるようになるので、走ったり跳んだりする動作もしやすくなる」と遠山は言う。

前述のアーチや足裏の感覚受容器を十分発達させるためにも、靴のサイズは半年に一度チェックしながら、常にジャストサイズを履かせたい。

「大きめのサイズにすると、歩くたびに足指が前に突っ込み、地面を蹴りづらくなる。また、サイズ調整で子供用のインソールを入れると、足裏の感覚が鈍るため、こちらも避けたい」と遠山は提唱している。

このように、0~5歳は神経が飛躍的に発達し、その後の運動能力の基盤を築く時期。

マニュアルのように運動をさせるのではなく、日々の遊びの中で楽しく関わりながら、子供の運動能力を引き出し、精神的な成長も促すことができるのだ。

0sai_2022_mook_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

ニューズウィーク日本版SPECIAL ISSUE「0歳からの教育2022」が好評発売中。3歳までにすべきこと、できること。発達のメカニズム、心と体、能力の伸ばし方を科学で読み解きます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

任天堂、「スイッチ2」を6月5日に発売

ビジネス

米ADP民間雇用、3月15.5万人増に加速 予想上

ワールド

脅迫で判事を警察保護下に、ルペン氏有罪裁判 大統領

ビジネス

貿易分断で世界成長抑制とインフレ高進の恐れ=シュナ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中