最新記事

実は和食にもたっぷり 日本がアメリカに押しつけられた「デブ穀物」その実態とは

2021年10月25日(月)17時48分
平賀 緑(京都橘大学准教授) *PRESIDENT Onlineからの転載
お刺身とビール

この写真の中にもデブ穀物由来のものがいくつか入っています。あなたは分かりますか? taka4332 - iStockphoto


第二次世界大戦後、日本はアメリカから多くの食物を輸入してきた。京都橘大学の平賀緑准教授は「特にトウモロコシは日本人の食生活に深く入り込んでいる。そこには、食糧援助だけでなく、日本人の胃袋をもっと消費する形に変える、という目的があった」という----。

※本稿は、平賀緑『食べものから学ぶ世界史』(岩波ジュニア新書)の一部を再編集したものです。

大量生産+大量消費による経済成長

第二次世界大戦後、多くの先進資本主義諸国はケインズ主義的な経済政策を採用し、政府が経済に介入しながら、米国を筆頭に先進諸国は「資本主義の黄金時代」を迎え、右肩上がりの経済成長を実現しました。1945年に敗戦した日本は、その10年後、1955年から「高度経済成長期」に突入します。

市場の自由に任せきりでは上手くいかないことを世界恐慌から学び、「大きな政府」が積極的に経済に介入し、農業や国内産業を護り、生産や貿易などにおいて保護や規制を設定しつつ、労働者も保護し、財政や金融政策によって景気の波を調整しました。

景気を安定させ、完全雇用を目指し、労働組合など労働条件も整え、所得を平等化するなど、資本主義経済でありながら福祉国家的な要素も含んだ混合経済の時代でした。また、鉄道や郵便など重要な産業分野は、日本でいえば日本国有鉄道(国鉄)、日本電信電話公社、日本郵政公社など、公的な企業体が率いていました(現在では民営化されて、それぞれ、JR、NTT、日本郵政グループになっています)。

ある程度まじめに働けばまともに暮らせる賃金を得て、工業部門が生産したいろんな新製品を購入することができて、その消費がさらなる経済成長を支える、そんな大量生産+大量消費によって、経済成長した時代でした。

海外市場を拡大し、消費を増やす

この時代、農業・食料部門でも、大量生産と大量消費が押し進められました。農業は工業化・大規模化され、農薬や化学肥料、農業機械を使った大量生産になりました。

かつては、農民が自ら種を採り、人力や畜力で耕し、有機的な肥料などを循環させることによって土を育てるなど、農業とは自立的な営みでした。それがこの頃には、工業部門が石油などから製造した農薬や化学肥料などの農業資材を農家が購入して、大規模に生産した商品作物を食品製造業など他の工業部門の原材料として出荷するようになりました。

つまり、農業も資本主義経済へ取り込まれたといえます(専門的には資本による農業の包摂といわれています)。政府も、戦時中の飢餓の記憶から農業生産を支援したり、多額の補助金をつぎ込んで自国の農業の大量生産体制を推進したりしました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

情報BOX:米・イスラエルのイラン攻撃後の中東にお

ワールド

米ウクライナ、3者協議延期・開催地変更を検討=ゼレ

ビジネス

イラン紛争、長期化ならインフレ押し上げと独連銀総裁

ワールド

イランから武器供給の要請ない=ロシア大統領府
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 6
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 9
    「え、履いてない?」モルディブ行きの飛行機で撮影…
  • 10
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 7
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 8
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 9
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中