最新記事

0歳からの教育 みんなで子育て

コロナ休校で孫育児... でも祖父母の健康に「孫疲れ」はメリットあり

TIRING BUT BENEFICIAL

2020年3月24日(火)16時25分
高木由美子(本誌記者)

好奇心いっぱいで能力にあふれた孫との触れ合いは祖父母にも刺激に FREEMIXER/ISTOCKPHOTO

<新型コロナウイルスによる休校や休園が長期化し、共働き夫婦の子供を預かる祖父母の「孫疲れ」が叫ばれだしたが......。「夫源(ふげん)病」の命名で話題を呼んだ石蔵文信医師が、孫育ての極意を語る。本誌「0歳からの教育 みんなで子育て」特集より>

もしかするとパパやママ以上にかわいがってくれて、好きなだけ甘やかしてくれる──乳幼児にとって、祖父母はなくてはならない存在だ。祖父母の育児参加は子供の愛着形成や多様な学びに役立ち、両親にとっては家計やキャリアの頼もしい助けになる。

20200331issue_cover200.jpg
では、祖父母にとっては? 孫と会うのはうれしい半面、体力的・経済的にきついし、自由な時間が奪われるなどとして、「孫疲れ」なる言葉も誕生するほど難しい問題かもしれない。

孫育児参加が祖父母にどう影響するのかについて、中高年のメンタルケアなどを専門にし、自身も4人の孫育てをしている大阪大学人間科学科招聘教授の石蔵文信医師に、本誌・高木由美子が話を聞いた。


◇ ◇ ◇

――疲れることも多い孫育児だが、祖父母にとって良い影響はあるのか。

疲れるのは悪いことに思えるかもしれない。だが逆に、60歳以上の患者に多い一般的な悩みは、食欲が湧かない、睡眠がしっかり取れない、というもの。じっとしているばかりでは当然、食べる気も起きないし睡眠もそれほど必要にならない。

そうすると結局、食欲増進剤や睡眠薬などを服用し、さらに体調が悪くなったりする。孫と歩き、世話で疲れることによって、食事も睡眠もしっかり取れるというメリットがある。

――良い疲れ方をするためには、孫とどんな接し方をするのがいいのか。

子供が小さいうちは体を使う遊びが多いだろうが、祖父母が遊び方を提案しても、子供はそのとおりにはしないもの。子供に合わせて、呼ばれたら近くに行き、やってと言われたらやるという方法でいい。

悪い疲れ方は、子供に対してイライラすること。時間に追われて子供をせかし、イライラすることも多い働く世代の両親と違い、祖父母は時間に余裕があるのがメリットだ。時には子供の寄り道に付き合い、余裕を持って行動を見てやればいい。

――体力を使うのがいい?

追い掛けっこが大好きな子供に付き合うのは体力がいるが、それだけでなく頭も使う。孫育てが認知症の予防にもつながる可能性もある。

小さい子供はものすごい能力を持っている。視力も聴力も記憶力も優れているし、興味のあるものを見つければ追い付けないような速さで走り出す。たかが子供と考えず、一人の人間として接することは、祖父母にも刺激になる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 5
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中