最新記事

育児

子供の寝かしつけ 専門家の意見が一致する一番の方法は?

2018年4月9日(月)19時09分
ラーナ・フォルーハー

0saimookSR180409-chart.png

ニューズウィーク日本版SPECIAL ISSUE「0歳からの教育 発達編」より

人間は哺乳類の中で最も未熟な状態で生まれることも忘れてはならない。誕生直後の赤ちゃんは、脳内の神経細胞同士の結び付きが未発達だ。深いレベルの睡眠とレム睡眠の両方をたっぷり取ることは、その接続の促進に欠かせない。「神経回路がつながることで体を動かす、考えるなどあらゆる行為が可能になる」と、ペンシルベニア州立大学のダグラス・テティ教授は言う。

決まった入眠の「儀式」を

それでも生後6カ月を過ぎて、夜間に必要以上に目を覚ます場合は何らかの医学的な問題があるかもしれない。コリック(疝痛)や胃食道逆流症、皮膚炎などがある赤ちゃんは落ち着いて眠ることができない。

眠る際の習慣が親の悩みのタネになる場合もある。例えば抱っこされたり、母乳を飲みながら寝入るのに慣れた子供は、夜中に目覚めたときも同じ方法でないと眠れないかもしれない。その場合、泣きわめいても眠るまで放っておくやり方もある。やがて子供は自分で自分の気持ちを静めるすべを身に付けるだろう。ファーバー方式として知られるこの手法はアメリカで人気があり、効果も認められているが、残酷だとして反対の立場を取る親や医師も少なくない。

睡眠に関する問題を防ぐには、決まった入眠習慣をつくるのが一番だという点で、専門家の意見は一致する。子供がほぼ一晩中眠るようになってきたら(早ければ生後半年ぐらいだが、3歳以降の場合もある)、気持ちを穏やかにするような就寝前の「儀式」を決めるといい。入浴でもいいし、本の読み聞かせといったことでもいい。いったん決めたら毎晩続けること。テレビは消し、部屋は暗くする。親子とも安らげる夜の儀式の確立は、寝かせる場所や寝かせ方といった細かいことよりも重要だ。

テティの研究でも、健やかな眠りに導く一番の要因はストレスのない環境であることが分かった。「子供の睡眠はこうあるべきだとか、こうあるべきではないといった思い込みはストレスのもとになる」と、テティは言う。「疲れたら子供は寝るもの。最良のアドバイスは、流れに任せなさいということだ」


0saimookcover-150.jpg<ニューズウィーク日本版SPECIAL ISSUE「0歳からの教育 発達編」では、赤ちゃんの心と体、成長の秘密に迫った。上手に脳を育てる、個性を伸ばす――科学で読み解く発達のメカニズムとは? この記事は「0歳からの教育 発達編」からの抜粋>

20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中