最新記事
株の基礎知識

「資産運用は簡単」の時代が日本にも到来?...実は「株価上昇しか知らない」世代は15年前から増えていた

2024年4月10日(水)17時55分
石井僚一 ※かぶまどより転載
東京株式市場 日本株

Kim Kyung-Hoon-REUTERS

<日本の「失われた30年」は本当に「30年」だったのか。ついに史上最高値を更新した日経平均株価で日本の何が変わるのか>

2024年2月22日、日経平均株価はバブル期につけた最高値38,915円を更新しました。このことは、日本の資産運用を簡単にする可能性を秘めています。2024年は、日本に資産運用が広く浸透する契機の年となるのかもしれません。

日経平均株価の高値更新のウラで...

2024年に入って国内の株式市場は堅調な推移を見せ、日経平均株価は2月22日の高値更新に続いて、3月4日には節目の40,000円を初めて突破しました。

日経平均株価は2000年4月に大幅な銘柄入れ替えが行われており、指数としての連続性には弱い部分があります。それでも、日本を代表する株価指数であり、TOPIXよりも知名度のある日経平均株価の高値更新は、時代を象徴する出来事としてメディアを賑わすことになりました。

ただ、日本が1989年高値の突破に沸く一方で、アメリカの主要株価指数は、過去の大きな山となっていたITバブル期(2000年前後)をすでに大きく上回る水準にあります。ダウ平均株価やハイテク銘柄中心のナスダック総合指数だけでなく、比較的値動きが安定するといわれるS&P500種株価指数も同様です。

アメリカの株式市場は、日本が「失われた30年」に停滞している間に、はるか先にまで進んでいるといえるでしょう。

(参考記事)日経平均株価の最高値更新から見えてくる、日本株市場の特殊さと物足りなさ

アメリカで資産運用が普及した理由

日本でも資産運用の必要性が言われるようになってから、すでに20年以上の歳月が経過しています。今年から新NISAがスタートして資産運用界隈は賑わっているものの、依然として「広く浸透した」といえる状態にはありません。

その一方で、アメリカでは多くの人が資産運用でお金を増やしている、とはよく言われることです。この違いはどこから来ているのか。様々な説がありますが、ここで、日経平均株価とダウ平均株価・S&P500種株価指数・ナスダック総合指数について、長期チャートを重ねて見てみましょう。

newsweekjp_20240410085246.png

日経平均株価は2013年から少しずつ上昇を続け、ようやく今年に入って1989年の高値を抜きました。対してアメリカの3つの株価指数は、ITバブルの崩壊やリーマンショック、コロナショックを挟みながらも、長い目で見ればずっと右肩上がりです。

日米の株価指数を比較してすぐにわかることがあります。それは、アメリカの株価指数を持っていた投資家は全員儲かっていた、ということです。これら指数に連動するタイプの投資信託を買って保有していれば、誰でも資産が増えている状態だったのです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 5
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 6
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 7
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 8
    三船敏郎から岡田准一へ――「デスゲーム」にまで宿る…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中