「資産運用は簡単」の時代が日本にも到来?...実は「株価上昇しか知らない」世代は15年前から増えていた
アメリカで資産運用が盛んなのは、そもそも「運用によって資産を増やすことが簡単」という背景も、少なからず影響しているのではないでしょうか。個別銘柄を選ぶ必要のない株価指数への投資で誰でも簡単に資産を増やせるなら、資産運用が広まるのは当然と言えます。
日本にも資産運用の時代が到来?
新NISA制度がスタートした今年2024年は、日本における「資産運用本格化元年」とも騒がれています。確かに新NISAは、制度の変更によって昨年までのNISAに比べると使い勝手が大幅に向上しました。それでも、実際に利用しているのは一定の層に留まっているのが現状でした。
そんな状況が、日経平均株価が史上最高値を超えたことで、大きく変わる可能性があります。
「失われた30年」の間、つまり日経平均株価がバブル期の高値を超えられずにいた間は、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数によって資産を増やすのは難しかったといわざるを得ません。それどころか、バブル崩壊から2008年まではずっと下落が続いており、手出し無用の状態でした。
ただ、投資は「いつ始めるか」というタイミングが非常に重要です。
資産運用では基本的に、長期投資(株式や投資信託の長期にわたる保有)で資産を増やすことを目指しますが、その場合でも、タイミングの重要性は変わりません。同じ金融商品でも、タイミングが違えばパフォーマンス(成果)がまったく異なることは、よくあります。
実は日本でも、2009年以降に運用を開始していれば、簡単に資産が増えた可能性が高いのです。というのも、日経平均株価は2009年3月に底打ちした後、一時的な下落はありながらも、長期的に見れば基本的には右肩上がりの状態だったからです。
たとえば、2009年頃に社会人になってからすぐに資産運用を始めていれば、2024年までに15年の歳月が経過しています。そういう人にとって、日本株だけで資産を増やすことも比較的簡単に感じられている可能性は否定できません。アメリカ人にとっての資産運用に近い感覚でしょう。
「バブルを超えた」「失われた30年が終わった」といった表現ばかりが注目され、これまで株価が完全に停滞していたかのようにも思われがちですが、実は、株価上昇しか知らない世代が国内でも増えている、ということです。
日本の資産運用を取り巻く状況は、すでに変化しつつあるといえるのではないでしょうか。
(参考記事)平成バブルと並んだ令和の日本株 その実態を3つの視点から読み解く
高値更新が意味する「全員が含み益」
ここまで日経平均株価やTOPIXといった株価指数による資産運用について述べてきましたが、それらに直接投資する(指数を買う)ことはできません。それらの指数に連動するように設計された投資信託やETF(上場投資信託)を通じて投資することになります。