パラグアイで受け継がれる日本の野球、藤川球児は「中南米の野球文化も素晴らしい」とエール
《二口さんは、昨年の春パラグアイから来日して高知ファイティングドックス(以下、高知FD)の練習生になりました。日本で野球に取り組む中で、どのようなことを感じていますか》
●二口卓矢さん(以下、二口さん):
パラグアイでは自己流で投げていたのですが、日本では、投球フォームからトレーニングに至るまで、一つひとつ理論的に考えながら丁寧に取り組んでいることに驚きました。日本の野球は本当に丁寧で、投げるフォームも安定していてきれいだなと思います。
●藤川さん:
そうですね。一方でパラグアイをはじめとする中南米のすばらしい野球文化についても忘れてはダメですよね。僕は中南米の選手たちの野球に取り組む姿勢から、子どもたちの力を伸ばすには練習を楽しむことも大事だと学びました。日本にも中南米にも良いところがありますので、双方向で「交流」することで、それぞれの良さを掛け合わせたハイブリッド型に変わり、進化していくものだと感じています。
スポーツの力と、挑戦することの大切さ
《藤川さんは、2013年に長年の目標だったメジャーリーグに挑戦されています。異国の地での挑戦に、言葉や文化の違いはハードルになりませんでしたか》
●藤川さん:
「野球」という共通言語があったのは大きかったですね。同じボールをみんなで追うことで、言葉がわからなくてもコミュニケーションが成立し、真の意味で世界がつながった気がしました。一緒に体を動かすスポーツには、そういう前向きな力があると思います。
《現在日本でプロ野球選手になるための挑戦を続けている二口さんは、いかがですか?》
●二口さん:
日本語は元々話せたので、日本であればなんとかなるという気持ちで来ました。
トレーニング方法を変えて6か月で10km/h以上球速を上げ、少しずつですがレベルは上がっていると思います。監督からも期待の言葉をかけられています。高知で支えてくれている人たちのためにも、なんとか期待に応えたいです。
《二口さんの挑戦を、藤川さんと古賀さんはどのように受け止めていますか》
●藤川さん:
二口くんの活躍で、パラグアイへの興味が湧く人も多いはず。国際交流という意味でもものすごく価値があることだと思います。いまは練習生ということですけれど、これからさらにレベルが上がっていくのが非常に楽しみですよね。
●古賀さん:
パラグアイでは彼を指導する立場でしたが、いまはただ彼の挑戦を応援したい気持ちです。そして、彼に続く子どもたちが出てきてくれればうれしいです。自分もゆくゆくは、パラグアイ代表チームの監督になって、パンアメリカン競技大会(注3)に出場するのが夢です。