最新記事

サイエンス

世界中の男性が日本のエロアニメに夢中になる理由とは?

2023年1月19日(木)15時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

要するに、ネット上で一番人気のエロチックアートには、男の目を惹きつけるキューのすべてが、たっぷりちりばめられているのだ。これが、たくさんの男がアニメやマンガのキャラに性的興奮を覚える理由だろう。僕たちは、男性が「何を」見たいかについては、かなり理解できた。次は、それは「なぜか」について探ってみるとしよう。

男性の性的欲望

オスのヒヒが「お尻」に執着するという話を聞いても、たぶん臨床心理学者は驚かないだろう。彼らは体のパーツに執着する男をさんざん見てきたからだ。

体のパーツへの執着は、女性よりも圧倒的に男性に多いという。また、男性の性的な夢想は、女性のものより明確な形で描かれるし、男性は性体験を、女性よりもこと細かく記憶するという。男性作家が書いた官能小説は、女性作家のものより視覚的な描写が多い。

僕たちは、マーサ・スチュワートの信奉者は圧倒的に女性が多いと考え、AOLのデータのなかの「マーサ・スチュワート」を検索した人について分析した。その結果、「マーサ・スチュワート」を検索した人たちのなかに、「ポルノ」を検索した人はほとんどいないが、「官能小説」を検索した人は平均の4倍もいることがわかった。

男性の脳は、女性の脳に比べて、目で捉える性的刺激に強く反応するように作られているようだ。実際に男性の性的興奮に関与しているのは、大脳の皮質下部にある扁桃体と視床下部というふたつの部位だ。どちらもとても小さな部位で、本人が意識しなくても働いている。

扁桃体は、感情的に反応する役割を担い、視床下部は性的興奮を引き起こす役割を担っている。ある研究者が男女にいくつかのポルノを見せて、男女の脳の活動変化を比較したところ、男性の扁桃体と視床下部は、女性のものより、強く活性化したという。

被験者が自己評価した性的興奮度が、女性のほうが高かったケースでも(そうしたケースはわずかしかなかったが)、やはり男性の脳のほうが強い活性化を示したという。どうやら扁桃体と視床下部は、こう声をそろえて、男をたきつけるらしい。

「ワオ、あのふくらみ具合をよく見るんだ!」目に入った「キュー」が男の性的欲望をかき立てる。目に映った像が刺激的だと脳が判断すると、男はたちまち体と精神の性的興奮を覚える。

エロチックな像が目に入ると、勃起をつかさどる脳の部位も活性化するのだ。また男性の場合は、性的な意欲と脳の皮質下の報酬系を結ぶ経路の数が、女性よりも多いという。

男性のほうが性欲が強いのは、それが原因のひとつと考えられている。要するに、あなたが長いこと疑っていた通りなのだ。男性の脳は女性の体を物体として見るよう作られている。

こうした物体化は、はるか昔の先史時代にすでに見られる。「ヴィレンドルフのビーナス」の名で知られる像は、今から2万6000年前、旧石器時代のドイツでクロマニヨン人が彫ったとされている。この像の女性は、GGカップの胸とカバのようなお尻の持ち主だが、顔はない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨

ビジネス

FRBが3会合連続で0.25%利下げ、反対3票 緩

ビジネス

FRBに十分な利下げ余地、追加措置必要の可能性も=

ビジネス

米雇用コスト、第3四半期は前期比0.8%上昇 予想
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中