数字に驚異的に強いインドと日本の子供たち、放課後にしていたこととは?
言うまでもないが、被験者が物体の数を報告できないのに、彼らが数を数えたかどうか、どうやってわかるのだろう?
私たちは被験者に、先ほど提示した(被験者が無意識に数えた)物体とよく似た物体の集合を、今度は目に見える形で提示し、数を数えてもらった。明らかになったのは、先に見せた物体の集合のほうが、目の前の物体の集合よりも小さければ、目の前の集合を数えるスピードは上がるが、先に見せた物体の集合のほうが目の前の集合よりも大きければ、数えるスピードが下がることだ。
つまり、ほかの刺激で抑制された集合の「数」が、そのあと目の前に提示された集合を数える準備になったり邪魔になったり、と影響を及ぼすことがわかる。要するに、数を数えるプロセスが意識的である必要はないのだ。
人間は寝ている間に数を数えている、と考える人は多いが、ある国際チームの独創的な実験によると、人は睡眠中に数を数えているどころか計算までしている。(睡眠中に眼球がすばやく動く)レム睡眠の間、人はたいてい夢を見ており、外的刺激にわりあい敏感な状態にある。
この調査では、被験者は音と課題を結びつけるよう訓練されており、目をある回数、左右に交互に動かして反応する練習をしていた。たとえば、「左右=1」「左右左右=2」「左右左右左右=3」「左右左右左右左右=4」といったふうに。レム睡眠中に、簡単な足し算や引き算の問題が提示されると、驚いたことに、眠っている多くの人が、少なくとも何問かに正しく解答した。
『魚は数をかぞえられるか? 生きものたちが教えてくれる「数学脳」の仕組みと進化』
ブライアン・バターワース[著] 長澤 あかね[訳]
講談社[刊]
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