最新記事

教育

数字に驚異的に強いインドと日本の子供たち、放課後にしていたこととは?

2023年1月2日(月)11時46分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

言うまでもないが、被験者が物体の数を報告できないのに、彼らが数を数えたかどうか、どうやってわかるのだろう? 

私たちは被験者に、先ほど提示した(被験者が無意識に数えた)物体とよく似た物体の集合を、今度は目に見える形で提示し、数を数えてもらった。明らかになったのは、先に見せた物体の集合のほうが、目の前の物体の集合よりも小さければ、目の前の集合を数えるスピードは上がるが、先に見せた物体の集合のほうが目の前の集合よりも大きければ、数えるスピードが下がることだ。

つまり、ほかの刺激で抑制された集合の「数」が、そのあと目の前に提示された集合を数える準備になったり邪魔になったり、と影響を及ぼすことがわかる。要するに、数を数えるプロセスが意識的である必要はないのだ。

人間は寝ている間に数を数えている、と考える人は多いが、ある国際チームの独創的な実験によると、人は睡眠中に数を数えているどころか計算までしている。(睡眠中に眼球がすばやく動く)レム睡眠の間、人はたいてい夢を見ており、外的刺激にわりあい敏感な状態にある。

この調査では、被験者は音と課題を結びつけるよう訓練されており、目をある回数、左右に交互に動かして反応する練習をしていた。たとえば、「左右=1」「左右左右=2」「左右左右左右=3」「左右左右左右左右=4」といったふうに。レム睡眠中に、簡単な足し算や引き算の問題が提示されると、驚いたことに、眠っている多くの人が、少なくとも何問かに正しく解答した。



 『魚は数をかぞえられるか? 生きものたちが教えてくれる「数学脳」の仕組みと進化
  ブライアン・バターワース[著] 長澤 あかね[訳]
  講談社[刊]

  (※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ大統領、中南米に空母派遣へ 軍事プレゼンス

ワールド

米朝首脳会談の実現呼びかけ、韓国統一相、関係改善期

ワールド

ロシア特使が訪米を確認、「対話継続を示す証拠」

ワールド

レーガン氏の自由貿易擁護演説が脚光、米カナダ間の新
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...装いの「ある点」めぐってネット騒然
  • 2
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月29日、ハーバード大教授「休暇はXデーの前に」
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中