白人男性作家に残された2つの道──MeToo時代の文壇とメディアと「私小説」
写真はイメージです Raman Mistsechka-iStock.
<有名作家の愛人となり、深い傷を負った女性が綴った『同意』が象徴的だが、白人男性主導の文学にあらがう動きがフランスで顕在化している。論壇誌「アステイオン」94号「弱き者よ、汝の名は白人男性作家なり?」より>
おそらく欧米諸国に共通して見られる傾向だろうが、現在のフランス文学において際立つのは「白人男性作家」の置かれた状況の厳しさである。苦境とか、弱体化といった言葉さえ頭をよぎる。
21世紀に入ってからの流れとして、そもそも女性作家の活躍が目立つ印象はあった。それがこの数年、性差別や人種差別の根の深さを窺わせる事件の続出や、#MeToo運動の広がりとともに、白人男性主導の文学にあらがう動きがフランスでは俄然、顕在化している。
象徴的な意味をもつのは、ヴァネッサ・スプリンゴラの『同意』(原書2020年刊、内山奈緒美訳、中央公論新社)だ。14歳で、有名作家Gに籠絡され愛人となり、やがて精神に深い傷を負った女性が、かつての経験を透徹した筆遣いで綴った作品である。
Gがガブリエル・マツネフをさすことはフランスの読者にとって明白だった。マツネフは自らの日常を高踏的な文体で綴る『黒い手帳』連作で知られる。とりわけ、未成年者を相手とするアヴァンチュールの数々を美化して描き、一部の称賛を受けてきたのである(スプリンゴラも作中に登場させられた一人だった)。1974年には『16歳以下』なる小児性愛のマニフェストまでものしていたのだから筋金入りというべきだ。そうした彼の確信犯的振る舞いに対し、スプリンゴラの著作がついにノンを突きつけたのである。
ソレルス、シオラン、ピヴォなどの大物たちが、かつてマツネフを支持するような立場を取っていたことが改めて問いただされた。70年代の尖端的な解放思想と、フランス持ち前の文学至上主義を後ろ盾として、マツネフは自らの性的倒錯に耽溺しえた。文壇とメディアを白人男性が支配してきた構図が、ありありと浮かび上がったのである。
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