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「1日2個、カットしてスプーンで食べるだけ」 メンタル不調に効く丸い食べ物とは

2021年7月11日(日)19時11分
籔 智子(ライター) *PRESIDENT Onlineからの転載

「現代の日本人は食事が西洋化し、カロリー過多になっているうえ、精製や加工された食品を食べることが多い。その結果、食物繊維のほか、葉酸などのビタミン、鉄などのミネラルといった栄養素が不足しやすいのです。例えば、鉄はミネラルの中でもっとも不足しやすく、閉経前の生理出血のある女性の2人に1人が、体内に貯蔵されている鉄が不足しています」

こうした栄養素は、心の健康とも大きくかかわっているそう。そのため心の不調を予防・改善するには、心をポジティブにしてくれる栄養素である、以下の「タシテヨ」を含んだ「ポジティブ・フード」を摂るよう心がけたい。

●タ......タンパク質(アミノ酸)
●シ......食物繊維、ビタミンC
●テ......鉄分
●ヨ......葉酸

「内臓や筋肉など人の体をつくるタンパク質はアミノ酸で構成され、アミノ酸は学習や記憶につながるドーパミンや、元気を出すノルアドレナリン、気分を安定させるセロトニンといった、行動や気分に指令を与える神経伝達物質をつくるもととなります。そのためアミノ酸が不足すると、心の不調に陥りやすくなります。

さらに、アミノ酸から神経伝達物質がつくられる過程では、ビタミンCや鉄、葉酸が不可欠です。また、ビタミンCは鉄の吸収を助け、ストレスホルモンであるコルチゾールの過剰な上昇の抑制にもかかわっています。

実際に、われわれが行った日本人約1万2000人の調査では、うつ病患者は、非うつ病患者と比べると鉄欠乏貧血の割合が高く、うつ病でない人たちの中でも、鉄欠乏症貧血の人はストレス症状が高いことが明らかになりました。

そして、食物繊維は腸内細菌のエサになる。そのため、食物繊維が不足するなどして腸内の善玉菌が減ると、腸壁に隙間が生じやすくなり有害なものなどが体内に侵入。血液を通じて脳に障害を起こします。逆に、腸内の善玉菌が多いと消化管と脳をつなぐ迷走神経さ刺激され、ストレス反応をやわらげることがわかっています」

「ポジティブ・フード」で心の不調を予防・改善

心の不調・改善に役立つ「ポジティブ・フード」を摂るには、「地中海式食事」や「健康的日本食」がおすすめだと功刀教授。

「地中海式食事」とは、その名のとおり地中海沿岸の伝統的な食事で、「野菜、果物、種実類、豆類、魚介類、オリーブ油、穀類」を多く摂り、適量の赤ワインを飲む食事法だ。一方、「健康的日本食」には「野菜や果物、大豆製品、きのこ類、緑茶」が含まれている。

とはいえ、毎日の食事で野菜や果物をしっかり食べるのは難しいもの。特に、果物を食べる人は年々少なくなっており、2002年から2019年の17年間で、日本人の年間の世帯あたり果物消費量は約3割も減少。なかでも20~40代の果物の消費量が低いことがわかっている。

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