感染症はライフスタイルと共に都市と建築のデザインも変える
The Post-Pandemic Style
同時にモダニズムのデザインは、道徳的・物質的・社会的な幸福を統合する1つの哲学を体現していた。ル・コルビュジエは次のように指摘した。「衛生と健康な身体は都市の設計に依存する。衛生と健康な身体がなければ、社会は衰退する」
現在のコロナ危機の下では、この言葉の真実が痛いほどよく分かる。早期の感染拡大防止措置が実施されなければ、人口過密都市は感染爆発の温床になりかねない。
感染症が新基準を生む
感染症はずっと以前から、建築と社会を変容させてきた。19世紀には、コレラの大流行を受けて「パリ大改造」が行われ、ロンドンでも下水道の整備が進んだ。
新型コロナのパンデミックも既に新しい設計理論を生み出している。アーキテクチュラル・ダイジェスト誌によると、多くのデザイナーや建築家は公共スペースの感染リスクを減らすため、自動化された非接触型技術の普及を考えている(例えば声で作動するエレベーター、ハンズフリーの照明スイッチなど)。
サナトリウムがモダニズム建築に大きな影響を与えたように、汚染された空気を除去する換気システムなど、21世紀の公衆衛生に欠かせない建築の要素が公共スペースに採用される可能性もある。モダニズム建築家が衛生のために装飾を拒否したように、現代のデザイナーは抗菌性の材料を利用する可能性が高い。
「社会的距離」戦略が都市デザインに与える影響について、建築家は人々の密集を緩和するため、建物の小型化やオープンスペースの拡大を志向するという見方がある。リモートワークの生産性次第では、従来型オフィスの衰退が早まるかもしれない。社会的距離は感染拡大防止の暫定的措置ではなく、新しいデザインの基準になる可能性がある。
物理的接触が禁止または制限されている今、私たちの幸福を支える社会インフラの重要性が浮き彫りになっている。都市の人口過密は感染症の蔓延を助長しかねないが、公園やカフェ、スポーツ施設、ライブ会場などは人間同士のかけがえのない交流の機会を提供してくれる。
持続可能な都市デザインは、人々が公共スペースを自分の家のように考えることを促し、ごみの散乱、汚染、人口過密といった感染症の拡大要因と闘うことを可能にするかもしれない。デザインは社会の絆を否定するのではなく、むしろ地球市民としての帰属意識を向上させる可能性がある。
©2020 The Slate Group
<本誌2020年5月26日号掲載>
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