「下ネタは世界共通。男たちは同じオチで、同じ顔で笑う」早坂隆×パックン
パックン それもアメリカだったら、ジョークの形にできる感情が多い。例えば、「選挙活動中、安倍さんの再選につながる活動を野党が見せてくれました」みたいな。そういう皮肉ったフレーズがあるとジョークになる。でも日本では、あまりそういうものを聞かない。
早坂 聞かないですね。直接的な悪口の言い合いになりがちなので、そこがちょっとね。もっとユーモアを交えてやればいいのにと思いますけどね。与党でも野党でも、右でも左でも、ユーモアでやればいいなと。
パックン じゃあ、早坂さんも本の前書きに書いていたと思うけれど、ジョークというのは機転がきく頭のよさを見せるポイントでもある。紹介していたのは、ラテン語か何かだったかと思うけれど。
早坂 ヘブライ語ですね。イスラエルで聞いた言葉だったかな。「知的な者ほどよく笑う」という諺。
パックン 面白い人は頭がいい、と。(早坂さんのジョーク集を)読んでいる人も、ジョークを言えるようになりたい、人を笑わせたいと思っている人が多いと思う。何かアドバイスはありますか。
「ジョークを活字で読むときは、助詞1つ、改行1つで変わる」
早坂 今日もいくつかジョークを言いましたけれど、僕は家でジョークなんか言ったことないですし......。
パックン えー、ないんですか⁉ こんなに持ってるのに? 僕は子供相手によく言っている。子供がジョークを聞いてくると、よし、じゃあ、そのパターンで作ろうよと言って、ジョークを作る練習をしてるんですよ。
息子があるジョークを聞いてきたから、2人でお風呂に入りながら「似たようなジョークを作って、お風呂から出たら娘に披露しようよ」と言って。その時に作ったジョークは――
4人の宇宙人が突然、地球に現れた。1日地球を研究しようと、バラバラになった。1人は幼稚園に行って、先生がLittle children, little children「子供たち、子供たち」と呼んでいるのを聞いて「子供たち」という単語を覚えた。2人目は世界中のビールが集まっているバーに行って、「お客さん毎日来てるじゃん」と言われているお客さんが「そうなんだよ、俺は全部飲みたいんだ」I want to drink them all.――これは英語で考えたジョークだけれど――という言葉を覚えた。
3人目はテレビを付けると、料理番組をやっていて「これ全部、ブレンダーに入れるだけです」、ウィ~ンとやっているのを見て覚えた。4人目は舞踏会に行って、正装しているマダムがもう1人のマダムに「わぁ、美しいですねえ」「ありがとう、あなたも」と話しているのを見て「ありがとう、あなたも」を覚えた。
その夜、ある地球人が4人の宇宙人を呼んで、夕食会を開いた。「今日はせっかくのお客様ですから、お好きなものをなんでも、おもてなししたいと思っています。何が食べたいですか」と言うと、1人目が「子供たち、子供たち」と言う。その地球人が「いやいやいや、子供を食べちゃいけないよ」と言うと、2人目が「全部飲みたいです」「いやいや、飲むのもできない!」と言ったら、3人目が「大丈夫、ブレンダーに入れるだけ」「お前ら、ひどい奴だな!」と言うと、「ありがとう、あなたも」。