最新記事

大学

教職員や卒業生の子供が「合格しやすい」のは本当?

2015年12月28日(月)15時25分

 この中で4はごく一部の音楽エリートの学生しか関係がないのですが、音楽エリートと言っても、音楽専攻でプロのチェリストを目指すというのは少数派で、ほとんどは名門大学への受験を意識してやっていることになります。

期待される学生像「伝統の継承者と破壊者」

 アメリカの大学の愛校心は非常に強いものがあります。特に名門と言われる大学になればなるほど、同窓生組織が充実しており、毎年の同窓会だけでなく、学校によってはマンハッタンの五番街などの超一等地に「同窓生クラブ」を設けて社交の中心としたり、自分の車に出身校のステッカーを貼ってみたり、大変な愛校心を持っているわけです。

 その背景には、大学で学んだ内容や獲得した人脈が終生にわたって意味を持つということもありますし、何よりも密度の濃い学生生活4年間の記憶が社会人になっても残っていくということもあるでしょう。

 そうした愛校心を支えているのが「伝統」です。

 各大学には様々な「伝統」があり、その中にはピアノをぶっ壊す(MIT)とか、裸で駆けまわる(以前のプリンストン)というような「プランク(手の込んだ悪ふざけ)」の伝統、あるいは大学のスポーツチームの応援といったカジュアルなものもあります。

 そうした悪ふざけの伝統は、卒業してからも続き、プリンストンの場合は同窓会の際に、いい年をした卒業生が大学前の目抜き通りであるナッソーストリートを仮装して練り歩くなどという伝統まで残っています。

 それはともかく、学生を紳士淑女として扱うとして期末試験などの試験監督を置かない(プリンストン)、あるいはムリをしてでもレベルの高い科目を選択するのが当然(コロンビア)などといった学業に関するものももちろんあります。

 さらに、スクールカラーや校章といったものへの強い愛着もあります。

 そうした愛校心を支えるものとして、各校の伝統を継承していくという姿勢があります。大学が合格者を選抜するにあたって、「レガシー枠(Legacy Admission)」というものを設けているのはそのためです。

 この「レガシー枠」というのは、教職員の子女を優遇するとか、親子2代、いや3代4代にわたる同窓生一家の出身者を優遇するというもので、ある意味では「人間は皆平等」という社会的な価値観とは少し違う考え方です。

 もちろん、これは基本的に私立大学に限られる話ですが、アメリカ社会はこうした「レガシー枠」という考え方には比較的寛容です。というのは、そうした3代4代にわたる同窓生一家が持っている「伝統」という目に見えない価値を大切にすることは、回り回って「全体に貢献する」ことになるからという漠然とした合意があるからです。

 ですが、そうは言っても「レガシー」だけで合格にしていては大学全体の力が落ちていってしまいます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア・ウクライナ復活祭停戦、発効数時間で双方が違

ワールド

米イラン協議決裂、核・ホルムズ海峡で溝埋まらず 停

ワールド

中国、台湾向け観光規制緩和など新措置 野党党首訪中

ビジネス

円高につながる金融政策、「一つの選択肢」=赤沢経産
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけない副作用に研究者が警鐘
  • 2
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦によって中国が「最大の勝者」となる理由
  • 3
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 4
    中国が恐れる「経済ドミノ」
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 8
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 9
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 10
    革命国家イラン、世襲への転落が招く「静かな崩壊」
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 9
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中