子供が「挑戦しない」「すぐ諦める」問題...世界のエリート校が注目する「子供のレジリエンス」の育て方
幼児期と思春期では、発達課題も違いますし、直面する逆境の種類も変わります。青年期は周囲との関係性が大きく関わってきますが、幼児期は生まれ持った気質や自分の気持ちを調整する力などに注目します。
とはいえ、レジリエンスは連続性のあるものなので、世代を超えた共通点も多くあります。例えば、楽観性、自己理解、未知の出来事への肯定的態度といった要因です。
レジリエンスを生涯かけて育て続けていく力であると考えた時、幼児期・学童期から、このような力の基礎を作り始めていくことが大切なのです。
また、幼少期から学童期において重要になるのが「自分の感情と上手に付き合う力」を育てることです。特に、不快な感情を持ちながらも我慢できる力の存在は、以降のレジリエンスの要因を育てることに大きく影響します。
例えば、せっかく作ったパズルや工作をきょうだいに壊されてしまったとき、気持ちを立て直してすぐに新しく作り直し始めることができるでしょうか。思い通りにいかないことがあり感情が大きく揺れても、自分を落ち着かせることができるでしょうか。
このような場面で感じるネガティブな感情を、自分で折り合いをつけて調整していく力を育てていくことが大切なのです。ネガティブ感情は悪者ではなく、自分の心と体を守り、自分でも気がつかない本当の気持ちを知るための、大切な感情です。
子どもたちには、ネガティブ感情は、恐れる対象ではなく、大事なことを教えてくれる味方であり、友達であると説明しています。
ネガティブ感情と仲良くする方法、つまり自分で調整する力を身につけておくと、大きな変化や逆境を経験した際に、「ここから立ち直れる!」という大きな自信となり、子ども達の心を育てていきます。
それぞれのレジリエンスの発揮の仕方がある
レジリエンスという力が注目されてから、数多くの研究知見が世に出てきました。一言でレジリエンスと言っても、置かれている状況や立場はさまざまです。
病気という逆境もあれば、貧困という困難もあります。個人のレジリエンスだけではなく、組織全体のレジリエンスを育てるという視点もあります。