物流施設REIT、刑務所REITも!? 不動産投資信託の魅力、種類、リスク
なお、REITの場合の利回りは、年1回もしくは2回の決算期に還元される分配金(株式で言えば配当)から算出されたもので、2021年3月末の平均では3.56%(時価総額による加重平均)。
(参照)すべての投資家のための不動産投信情報ポータル「JAPAN-REIT.COM」
「投資口価格÷1口あたり純資産(NAV)」で計算されるNAV倍率は、株式におけるPBRと同じような指標で、万が一REITが解散になった場合でもNAV倍率が1以上であれば利益を得られる、という目安として見ることができます。2021年3月末での平均は1.12倍となっています。
REITならではのリスクも
言うまでもなく、REITは取引によって価格が変動するため、元本や利回りが保証された金融商品ではありません。価格は、投資法人の業績に左右されるだけでなく、不動産市場全体の動向や金利の影響を受けることもあります。また、通常の株式の場合と同じように、上場廃止や倒産のリスクも当然あります。
さらに、REITは、あらゆる金融商品の中でも特に災害に弱いと言われています。投資対象である物件が地震や火災によって被害を受けるなど、予想不可能な事態によって価格や分配金が大きく下がってしまう可能性があるのです。
特に日本は地震が多い国です。REITで古い物件が投資対象となることは稀ですが、地域を限定して運用するREITなどでは、特に災害リスクを意識しておきたいところです。
また、実際の不動産よりは圧倒的に取引がしやすいものの、株式と比べた場合の流動性は当然劣ります。なかには一日の取引が数百口しかないようなREITもありますので、その点も念頭に置いておいたほうがよさそうです。
REITの多彩な投資先
株式投資では、どんな企業に資金を投じるかが醍醐味のひとつですが、REITの場合、その多彩な投資先が大きな魅力のひとつと言えるかもしれません。アパートやマンション、ホテルに商業施設など投資対象となる不動産物件には様々なものがあります。
■オフィスビル特化型REITM
オフィスビル特化型REITの場合、投資家からの出資金は、オフィスビルの運用をメインとして充てられます。例えば、三井不動産が主要スポンサーとなっている国内最大の時価総額を誇る日本ビルファンド投資法人<8951>や、大和証券オフィス投資法人<8976>などがあります。
いずれも、コロナ禍でテレワークの推進が進むなどオフィスビルへの投資が冷え込む中で価格は下落しましたが、2020年11月からは上昇に転じており、今後の展開が期待されます。
■商業施設特化型REIT
商業施設特化型REITでは、国内初で2002年から上場している日本都市ファンド投資法人<8953>が知られています。表参道や原宿のおしゃれな商業施設や駅前の大型ビルが主な投資先となっており、郊外型店舗にも投資しています。
イオンリート投資法人<3292>はその名の通りイオンモールを中心に運用するREITであり、イオングループがスポンサーとなっています。