最新記事

株の基礎知識

物流施設REIT、刑務所REITも!?  不動産投資信託の魅力、種類、リスク

2021年6月7日(月)11時40分
山口 伸 ※株の窓口より転載

なお、REITの場合の利回りは、年1回もしくは2回の決算期に還元される分配金(株式で言えば配当)から算出されたもので、2021年3月末の平均では3.56%(時価総額による加重平均)。

(参照)すべての投資家のための不動産投信情報ポータル「JAPAN-REIT.COM」

「投資口価格÷1口あたり純資産(NAV)」で計算されるNAV倍率は、株式におけるPBRと同じような指標で、万が一REITが解散になった場合でもNAV倍率が1以上であれば利益を得られる、という目安として見ることができます。2021年3月末での平均は1.12倍となっています。

REITならではのリスクも

言うまでもなく、REITは取引によって価格が変動するため、元本や利回りが保証された金融商品ではありません。価格は、投資法人の業績に左右されるだけでなく、不動産市場全体の動向や金利の影響を受けることもあります。また、通常の株式の場合と同じように、上場廃止や倒産のリスクも当然あります。

さらに、REITは、あらゆる金融商品の中でも特に災害に弱いと言われています。投資対象である物件が地震や火災によって被害を受けるなど、予想不可能な事態によって価格や分配金が大きく下がってしまう可能性があるのです。

特に日本は地震が多い国です。REITで古い物件が投資対象となることは稀ですが、地域を限定して運用するREITなどでは、特に災害リスクを意識しておきたいところです。

また、実際の不動産よりは圧倒的に取引がしやすいものの、株式と比べた場合の流動性は当然劣ります。なかには一日の取引が数百口しかないようなREITもありますので、その点も念頭に置いておいたほうがよさそうです。

REITの多彩な投資先

株式投資では、どんな企業に資金を投じるかが醍醐味のひとつですが、REITの場合、その多彩な投資先が大きな魅力のひとつと言えるかもしれません。アパートやマンション、ホテルに商業施設など投資対象となる不動産物件には様々なものがあります。

■オフィスビル特化型REITM

オフィスビル特化型REITの場合、投資家からの出資金は、オフィスビルの運用をメインとして充てられます。例えば、三井不動産が主要スポンサーとなっている国内最大の時価総額を誇る日本ビルファンド投資法人<8951>や、大和証券オフィス投資法人<8976>などがあります。

いずれも、コロナ禍でテレワークの推進が進むなどオフィスビルへの投資が冷え込む中で価格は下落しましたが、2020年11月からは上昇に転じており、今後の展開が期待されます。

kabumado20210607reit-4.png

■商業施設特化型REIT

商業施設特化型REITでは、国内初で2002年から上場している日本都市ファンド投資法人<8953>が知られています。表参道や原宿のおしゃれな商業施設や駅前の大型ビルが主な投資先となっており、郊外型店舗にも投資しています。

イオンリート投資法人<3292>はその名の通りイオンモールを中心に運用するREITであり、イオングループがスポンサーとなっています。

kabumado20210607reit-5.png

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国粗鋼生産、11月は23年12月以来の低水準 利

ビジネス

吉利汽車、2.84億ドル投じ試験施設開設 安全意識

ワールド

中国とサウジが外相会談、地域・国際問題で連携強化

ビジネス

グーグルがパプアに海底ケーブル敷設へ、豪が資金 中
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中