最新記事

株の基礎知識

物流施設REIT、刑務所REITも!?  不動産投資信託の魅力、種類、リスク

2021年6月7日(月)11時40分
山口 伸 ※株の窓口より転載
東京

Torsakarin-iStock.

<不動産投資は手間がかかり、初期費用が高いと言われるが、REITという選択肢がある。株式市場で不動産を買うREITはどんな仕組みなのか。コロナショック後の現在はどういう状況か>

株式投資とは別の投資先として、不動産投資に興味を持っている人もいるのではないでしょうか。不動産投資は手堅いと言われますが、その一方で、物件の管理に手間がかかるほか、数ある投資のなかでも特に初期費用が高いため、失敗した時の損失が大きくなる可能性があります。

不動産投資を始めたいけどハードルが高いなぁ......と思っている方は、株式と同じように取引できる「REIT」を選択肢に入れてみてはどうでしょうか。

不動産投資信託「REIT」とは?

REITは「Real Estate Investment Trust」の頭文字をとったもので、日本語に直訳すると「不動産投資信託」になります。

投資法人が投資家から資金を集めて不動産物件に投資し、その収益を分配金として投資家に還元するのがREITの仕組みです。実際の不動産物件を所有・運用するのは投資法人であるため、投資家は自分で管理などをする必要はありません。

kabumado20210607reit-1.png

REITの中には、株式市場に上場しているものがあります。いわば、上場投資信託(ETF)の不動産版と考えるとイメージがつきやすいのではないでしょうか。

REITの仕組みはもともとアメリカで誕生し、日本に導入する際には「J-REIT」という名も付けられました。2001年9月に初めてのJ-REITが東京証券取引所に上場し、2021年3月時点の上場数は61銘柄、時価総額は16兆円を超えています(東証1部は722兆円)。

kabumado20210607reit-2.png

J-REIT市場全体の動向を示す指数としては、全上場REITを対象とした「東証REIT指数」が算出されています。TOPIXと同じ時価総額加重平均型の指数で、2003年3月末の時価総額を1000として指数化されています。コロナショックで大きく下落しましたが、その後は少しずつ回復基調にあります。

kabumado20210607reit-3.png

REITのメリットと魅力

株式市場に上場しているREITの最大の魅力と言えば、何と言っても、普通の株式やETFと同じように、いつでも売買ができることです。これにより、不動産投資に特有の流動性リスク(=売り買いが簡単にできない)を低く抑えることができます。

また、通常の不動産投資では初期費用が高額になるため、借入が必要となることも多いのですが、REITなら少額(10万円前後)から始めることができますし、同時に、複数の不動産への分散投資にもなります。また、NISAの対象商品にもなっています。

それぞれのREIT(投資法人)の業績は、株式の場合と同じように、決算短信や決算発表資料を通じて知ることができます。利回りなどのデータは、証券会社や株式情報サイトにも掲載されていますので、株式の銘柄を分析する際と同じように、必要な情報を得ることができます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、1カ月半内にサウジ訪問か 1兆ドルの対

ビジネス

デフレ判断の指標全てプラスに、金融政策は日銀に委ね

ワールド

米、途上国の石炭からのエネルギー移行支援枠組みから

ビジネス

トランプ氏、NATO加盟国「防衛しない」 国防費不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに
  • 4
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 5
    一世帯5000ドルの「DOGE還付金」は金持ち優遇? 年…
  • 6
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 9
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 10
    34年の下積みの末、アカデミー賞にも...「ハリウッド…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中