テスラに見る株式市場の先見性、知っておくべき歴史の教訓
■中国企業が席巻した時代、日本中が沸いたあの頃
これを見るとわかるように、現在はGAFAをはじめとしたアメリカ企業が上位をほぼ独占していますが、過去にはまったく異なった会社が占めていました。
14年前の2007年当時で言うと、中国のペトロチャイナが1位、続いてチャイナモバイル、中国工商銀行、中国石油化工など中国企業が上位の半数を占めていました。中国経済の大発展が世界経済を席巻した時代の象徴といえ、実際、中国経済は世界第2位の地位まで上り詰めたのは皆が知るところです。
さらに18年前の1989年まで遡ると、世界1位はNTT(日本電信電話<9432>)で、次いで住友銀行(現・三井住友フィナンシャルグループ<8316>)などの銀行各社、トヨタ、東京電力<9501>などが並び、世界の時価総額上位10社中、実に7社が日本企業でした。
土地の高騰をはじめとしたバブルに沸いた日本経済が世界をリードしていた時代です。振り返れば「バブル」と片づけられていますが、少なくとも当時は、日本には世界トップクラスの会社がたくさんあって、それが当然だと信じられ、時価総額で評価されていたのも事実です。
このように、いま現在、「そりゃそうだよね」とか「当たり前だよね」と思うことが、未来永劫も継続しているわけではないというのは重要な視点です。世界経済で言えば、概ね20年前後で主役が変遷していると捉えることができます。今はGAFAが主役ですが、20年後は全く変わっているかもしれません。
日本国内でも主役は変わっていく
日本の株式市場だけを観察しても、興味深い変遷を示すものがあります。例えば、小売業界です。GDPの約6割を支える消費支出の多くを占める小売業界は、ライフスタイルの変化により、その主役が変わっています。
1960~70年代では、買い物の場の主役は百貨店でした。三越(現・三越伊勢丹ホールディングス<3099>)をはじめ、高島屋<8233>、大丸(現・J.フロント リテイリング<3086>)など百貨店が小売市場の上位を独占し、「デパートに行く」がステータスともなっていた時代です。
1970年~80年代になると、日常品のチェーン化を実現したスーパーが主役になります。代表的な会社がダイエー<8263>で、イトーヨーカ堂(現・セブン&アイ・ホールディングス<3382>)やイオン<8267>が続きます。
その後、1990年代から2000年代に入るとライフスタイルが大家族から個へシフトし、コンビニエンスストアが台頭してきます。だれもが知っているセブンイレブンですね。当時のセブンイレブンジャパン(現・セブン&アイ・ホールディングス<3382>)の株を買っていれば、投資額は数百倍にもなったことで有名です。
このように、時代とともに人々のライフスタイルに変化が生まれ、それによって業界の主役が移り変わり、株式市場でもそのポジショニングを高めていったのです。