最新記事

株の基礎知識

日本株投資だけやっている人にとっても、テスラが無視できない理由

2021年3月4日(木)17時35分
鳳ナオミ ※株の窓口より転載
テスラ

ricochet64-iStock.

<今や時価総額はトヨタの4倍。世界的に注目を集める電気自動車専業メーカーのテスラだが、投資の観点から見ると、また違った「すごさ」が見えてくる>

日本株にも影響を及ぼすテスラとは?

テスラ<TSLA>という会社をご存じでしょうか? 日本ではまだ一般にはなじみがないかもしれませんが、株式投資をしている人であれば、もちろん聞いたことがあるでしょう。アメリカ......というよりも世界で最も有名な電気自動車メーカーです。

ただ、日本の株式市場に上場しているわけではありませんし、日本国内でテスラの電気自動車が走っているところもほとんど見かけませんので、自分にはあまり関係ないと思っているかもしれません。しかし、この会社は、アメリカのみならず世界の株式市場で無視できない存在となっており、日本株投資だけをしている場合でも、横目でウォッチしておくことが大変重要になっているのです。

■テスラとは?

まず、簡単にテスラの紹介をしましょう。

電気自動車専業の自動車メーカーであるテスラは、世界における販売台数が2020年で50万台弱と、世界トップの自動車メーカーであるトヨタ自動車<7203>の販売台数(約900万台)の18分の1、売上規模では約10分の1の規模の会社です。

台数だけで言えば、スバル<7270>や三菱自動車工業<7211>の国内生産台数にも及びません。しかし、2016年の販売台数がほんの8万台弱だったことを考えると、4年で5倍以上に伸びている会社であり、とてつもなく急成長していることがわかります。

しかしながら、急激に変化している会社だけに、現在の販売の規模や水準だけでは評価が難い会社ともいえます。

■現状のテスラの大きな2つの特徴

現在のテスラの特徴といえば、以下の2点を挙げることができます。

・電気自動車の専業世界トップ
・D2Cの販売手法

規模や台数はまだ大きくはないものの、電気自動車専業というポジショニングでは他を寄せ付けず、電動車(EV+PHEV)の世界市場シェアでは約17%(2019年)とトップ。直近では2割を超えており、生産能力はすでに100万台超と、そのシェアはさらに拡大していると見込まれています。アメリカ市場だけを見れば、電気自動車の80%はテスラとなっています。

また、既存の流通網を利用せず、D2C(ダイレクト to コンシューマー)、つまり消費者に対して直接販売する方式を採用しているため、在庫を抱えないビジネスモデルとなっているのも大きな特徴です。

通常、様々な顧客の要求にこたえるために、メーカーなり販売店なりは相当程度の在庫を抱える必要がある一方で、在庫を抱えないテスラは、余計な在庫リスク及びコストを持たないのです。これは、低コストオペレーション事業戦略として、ファッションなどいくつかの業界で実践されているビジネスモデルですが、これを自動車業界で実現しているのがテスラです。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アップル、新たなサイバー脅威を警告 84カ国のユー

ワールド

イスラエル内閣、26年度予算案承認 国防費は紛争前

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億

ワールド

EU、Xに1.4億ドル制裁金 デジタル法違反
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 5
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 6
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 7
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 8
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 9
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中