最新記事

株の基礎知識

株式投資にも「保険」という概念が存在する

2021年1月16日(土)11時50分
鳳ナオミ ※株の窓口より転載

機関投資家も、なにかしらのリスクヘッジを行っています。短期的な為替変動に左右されたくない、金利情勢が読めないなど、株式投資を行う上で「すべての予測を的中させるのは不可能である」という原則に基づいて、読めない・わからない要素については、投資対象への影響を最小限にするリスクヘッジを行うのです。

基本となる3つのリスクヘッジ手法

リスクは、概ね以下のように表現できます。

・ファクターの変動率 × 投資期間=リスク

ファクター(要素)は様々な事象や運用対象、例えばアメリカの経済情勢、為替、金利......などを指します。その変動率が大きくなればなるほどリスクが高まり、投資期間も長いほど様々なリスクを抱えることにつながります。

そこで、変動率を最小限に留める、あるいは投資期間を短くすることで、リスクを減らすことはできるのですが、現実には、株価を動かすファクターは無数にあり、長期保有もしばしばあるので、結果的に投資には常にリスクが付きまとう、ということになるのです。

もちろん、全てのリスクをコントロールすることは不可能なので、考えられるリスクを想定しながら、ヘッジすべきか、そうでないかを考えることになります。

具体的なリスクヘッジの方法としては、以下の3つが代表的です。

(1)時間を分散する(積み立て)

時間の分散によるリスクヘッジは、いわゆる積み立てです。なかでも代表的な手法として知られる「ドルコスト平均法」は、等金額を一定期間ごとに積み立てる投資法です。

このドルコスト平均法では、運用対象の価格が高いときは少なめの数量、価格が安いときは大きめの数量を取得することで、平均での投資コストを最小化します。投資金額を時間で分散することで、局面ごとのリスク回避につながるということです。

つみたてNISAなどで知られる手法も、時間リスクをヘッジしているといえます。

(2)ファクターヘッジ

ファクターヘッジは、投資対象の株価変動に関わる主要な要素(業績、経営等)以外の要素による影響を抑えるため、リスクヘッジ用に別な投資を行う手法です。

例えば、円高になると株価が下がる可能性が大きい場合、円高でリターンを得られる投資を併用することで(円高で株価が上がる銘柄も保有する、FXも運用するなど)、円高リスクに備えるのです。市場全体の下落の影響を避けたい場合には、市場急落に備えた投資(先物ショート、インバースETF、空売り等々)を併用します。

その他にも、経済紛争や政情不安、他国の株式市場の急変なども、その恐れがあると想定した場合にヘッジが可能であれば、そのファクターを打ち消すような投資行動を併用することで、不用意なリスクを回避することになります。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

英企業信頼感、1月は1年ぶり低水準 事業見通しは改

ビジネス

基調物価の2%上昇に向け、緩和的な金融環境を維持=

ワールド

米運輸長官、連邦航空局の改革表明 旅客機・ヘリ衝突

ビジネス

コマツの4ー12月期、営業益2.8%増 建機販売減
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 9
    トランプのウクライナ戦争終結案、リーク情報が本当…
  • 10
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中