最新記事

キャリア

オンラインプレゼンの秘訣を世界最高峰の「スピーカーズ・コーチ」に学ぶ

2020年8月11日(火)16時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

そのために著者は、複数の感覚に訴えることを勧めている。写真やグラフを見せたり、物語や音楽などを聞かせたり、何かを書いてもらったり。ただ「話を聞く」だけにならないように、聴衆側にも変化を持たせるのだ。

また、プレゼンの冒頭は記憶に残りやすく、関心を呼ぶだけでなく、勢いに乗って本題に入っていきやすい。つまり、プレゼンも「つかみ」が重要ということだ。そこで、最初の30秒で聴衆の関心を引きつけるために「小道具を使う」などの具体的手法も紹介されている。

他にも、「相手にとっての起点から始める」「現状と改善後の状況を示す」「行動への動機付けを与える」といった構成上のヒントに加えて、「スライドがプレゼンなのではない」「『記憶に残るスライド』の5原則」といったアドバイスもある。準備段階でやるべきことは多い。

「時間になりましたので」で終わるのはもったいない

あのスティーブ・ジョブズも、アップルの主要な製品を発表する際には必ず、何時間も入念なリハーサルをしていたという。第2段階の「練習」でいかに細かく練り上げられるかが、本番で大きな差を生むのだ。

人前で話すときには、なるべくあがらないようにしたいと思うものだが、著者は「落ち着き払う必要はない」と述べる。落ち着いた状態は確かに望ましいが、いくらか緊張することもプラスに働くからだ。それに、リラックスし過ぎると慢心につながる恐れもある。

また、完璧なパフォーマンスをイメージして試合に臨むアスリートのように、頭の中でリハーサルして成功を視覚化することも、成功の可能性が高まるそうだ。

だがもちろん、実際のリハーサルこそが成否のカギを握る。話の達人たちは2種類のリハーサルをしているという。ひとつは「作り出すリハーサル」で、もうひとつは「磨き上げるリハーサル」。2つのリハーサルで十分に練習を行うことで、熟練のパフォーマンスが可能になる。

十分な準備と入念な練習をすれば、自信を持って本番に臨める。いよいよ「実行」の時だ。ここでは、「聞きやすい声」にする具体的な秘訣のほか、相手を名前で呼んで話してかけることのメリット、質疑応答の時間を建設的にする方法などが紹介されている。

そして最後は、静かに終わるのではなく、力強く締めくくることが大切だと著者は言う。「つかみ」と同様に、「締め」もまた重要なのだ。「時間になりましたので」と言って終わってしまうのは非常にもったいない。終わり方に知恵を絞ることで、聞く側の動機づけにもなる。

【関連記事】奇抜な名前の高級食パン店を大ヒットさせたプロデューサー、そのノウハウを明かす

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中