最新記事

株の基礎知識

アフターコロナの景気はどうなる? 景気判断の経済指標をイチから解説

2020年6月3日(水)19時20分
山下耕太郎 ※株の窓口より転載

■遅行指数:完全失業率

完全失業率とは、15歳以上の働く意思のある人のうち「現在仕事についていない」「仕事があればすぐに働ける」「仕事を探す活動をしている」という条件をすべて満たす失業者の割合を示します。景気が悪くなった後に失業者が増えることから、完全失業率は「遅行指数」になります。

2020年4月の完全失業率は2.6%と、前月から0.1ポイント悪化。完全失業者の数が6万人(季節調整値)増加したことになります。しかしながら、遅行指数であることから、これは半年前の景気への反応と見ることができ、コロナ禍による失業者数の増加は今後さらに大きくなることが考えられます。

●指数で見る景気の「山」と「谷」

実際にこれらの景気動向指数を用いて景気を評価する際には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)という2つの見方があります。

CIは、構成する指標の動きを合成することで景気変動の大きさやテンポを表し、2015年を100として、前月より高くなっていれば景気回復が進んでいる、と判断します。

一方のDIは、構成する指標のうち上昇を示す指標の割合が数カ月連続して50%を上回っていれば景気拡大、50%を下回っていれば景気が後退している、と判断します。

日本では、内閣府が専門家を集めて開催する「景気動向指数研究会」によって、景気の「山」と「谷」が判断されています。その基準となっているのはCIで、具体的には、景気の現状を示す「一致指数」が上がっているか下がっているかを見て、景気に関する政府の公式見解(基調判断)として発表しています。

5月に発表された2020年3月の一致指数は前月比5.2ポイント低下の90.2で、基調判断は「悪化」となりました。つまり、景気後退の可能性が高いということです。推移を示すグラフからも、新型コロナウイルスの感染拡大が景気に大きな影響を与えていることがわかります。

kabumado20200603aftercovid19-chart1.png


経済規模を知る「GDP(国内総生産)」

景気動向指数とともに景気の良し悪しを判断する際に使われる経済指標が「GDP(国内総生産)」です。国内で生み出された付加価値の総額を示し、国内の経済活動の規模を知るための指標として用いられます。

GDPの値が大きければ経済規模が大きい、小さければ経済規模が小さいというように、国ごとの経済規模の大きさを比べる際にも使われますが、同時に、前年と比べて値が大きくなっていれば「景気が良くなっている」と判断することができます。

2019年10~12月期のGDPは、物価変動を除いた実質で前期比1.9%減、年率換算では7.3%減となりました。世界経済の減速もありましたが、消費税率の引き上げが大きな原因となったのは言うまでもありません。

そして2020年1~3月期は、物価変動を除いた実質で前期比0.9%減、年率換算では3.4%減(いずれも速報値)。新型コロナウイルスの感染拡大によって2四半期連続でマイナス成長となりました。また、2019年度の実質GDPも前年度比0.1%減となり、実に5年ぶりのマイナス成長です。

kabumado20200603aftercovid19-chart2.png

欧米では、GDPが2四半期連続でマイナスになると「リセッション(景気後退)」とみなします。つまり欧米の基準で考えると、日本は景気後退期に入ったと考えられるわけです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ミネソタ州知事と協議 地裁は移民摘発停

ワールド

イスラエル、ガザ最後の人質の遺体収容 ラファ検問所

ワールド

EU、米メタに有害投稿対策強化促す 「ワッツアップ

ビジネス

USAレアアース株、一時26%上昇 米政府の16億
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 7
    中国、軍高官2人を重大な規律違反などで調査...人民…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中