アフターコロナの景気はどうなる? 景気判断の経済指標をイチから解説
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<投資をするなら知っておきたい、景気の現状を理解するための基礎知識。新型コロナウイルスのインパクトはリーマンショック以上とも言われるが、実際のところ、どうなのか。いつまで続くのか>
コロナ後の景気を見通す
株の世界だけでなく日常生活でもよく話題に上る「景気」ですが、具体的には、経済活動全般の動向のことを意味します。では、それを具体的にどうやって判断するか、ちゃんと理解しているでしょうか? 個人の主観や印象では判断がバラバラになり、経済や相場の先行きを見通す参考になりません。
景気の良し悪しは「経済指標」によって判断されます。日本で使われている経済指標は「景気動向指数」と「GDP(国内総生産)」の2つで、これらの指標が良ければ「景気が良い」「好景気」と呼ばれ、悪ければ「景気が悪い」「不景気」あるいは「不況」と呼ばれるのです。
新型コロナウイルスのパンデミックによって、今後の景気はどうなるか心配している人も多いでしょう。景気を判断する経済指標を理解することで、ニュースや他の人の意見を待たずとも、景気の現状を理解することができるようになります。
景気全体を知る「景気動向指数」
ニュースでもよく耳にする「景気動向指数」は、産業や金融、労働など、経済にとって重要かつ景気に敏感な28の「景気指標」をもとに算出される指数です。景気全体の状況を判断したり、将来の動向を予測したりするときに使われます。
この景気指標は、数か月先の景気の動きを示す「先行指数」、景気の現状を示す「一致指数」、さらに半年から1年遅れで反応する「遅行指数」の3つに大別されます。それぞれの代表的な指数を見てみましょう。
■先行指数:東証株価指数(TOPIX)
景気動向指数の「先行指数」として採用されているのが、「東証株価指数(TOPIX)」です。東証1部に上場する全銘柄を対象とした株価指数で、日経平均株価とともに日本の代表的な株価指数です。
景気の先行きを知るための指標として株価指数が使われているということは、「株価は景気に先行して動く」ことが公的に認められているということを意味します。言い換えれば、株価を見ても「現在の景気」はわからない、ということにもなるでしょう。景気と株価の関係については、後ほど詳しく解説します。
■一致指数:有効求人倍率
「有効求人倍率」とは、世の中にどのくらい仕事(求人)があり、それに対してどのくらい応募があるのかを表しています。求人募集が200件、仕事を探している人が100人だとすると、有効求人倍率は2倍になります。
景気が良くなって仕事が増えれば、有効求人倍率は高くなります。したがって、有効求人倍率が高いほど景気は良いと判断できます。こうした労働市場の状況は景気にほぼ一致するので、有効求人倍率は、景気の現状を示す「一致指数」として重視されます。
2020年3月の有効求人倍率は1.39倍で、3年半ぶりの低い水準となりました。さらに、4月は前月比0.07ポイント低下の1.32倍。これは、2016年3月以来の低水準です。緊急事態宣言を受けて経済活動が落ち込み、企業の採用意欲は急速に低下したことを示しています。
ただ、リーマンショックの際には、翌年の2009年に0.47倍まで低下しています。今後も有効求人倍率の動向には注意が必要でしょう。