最新記事

海外ノンフィクションの世界

パーソナル・コーチングの父が最も伝えたいことは「セルフィッシュになれ」

2020年4月13日(月)17時35分
糟野桃代 ※編集・企画:トランネット

あたかもコーチングのセッションを受けるのと同じように

本書ではほかに「未来というコンセプトを捨てる」「あらゆるものをシンプルにする」など、1章ずつ、全部で28の「魅力の法則」が述べられている。あたかもコーチングのセッションを受けるのと同じように、読者が本書を読み進めるなかで自らの内面に気づきを起こしていけるよう、あちこちに工夫が凝らされている。

例えば、各章の冒頭には「ニュアンスの違い」と題したコーナーがあり、その章の「魅力の法則」を理解するうえで重要になるキーワードをいくつか取り上げている。特徴的なのは、そのキーワードと混同しがちな言葉を必ずセットで並べ、対比の中で正確に意味をとらえさせようとしている点だ。

例えば、「自分の感受性を高める」という法則の章では、「フィーリング」と「感情的な反応」を比較し、自分の心が揺れるときの状態がどちらに当てはまっているのか、読者に深い内省を促している。

さらに、「自分の人格を徹底的に磨くための人格チェック100」といった診断テストやワークも収録されている。実際に取り組んでみれば、自分の現在地を知り、理想の状態へ向かう行動をデザインするコーチングのプロセスを、より具体的に追体験することができるだろう。

印象的なセンテンスを対訳で読む

●Until your needs are met, you really can't make the most of what God gave you.
(「ニーズ」の部分が満たされない限り、天からの贈り物である自分の才能を本当の意味で活かすことはできない)

――13個目の法則、「これを最後に自分のニーズを完全に満たし切る」より。自分が自分であるために必要な「ニーズ」に、人はなかなか気づかないもの。欠けたニーズをかりそめに埋めようとするのではなく、その存在を正面から認め、尊重することで、自分の魅力を発揮する基盤が整っていく。

●what is true FOR YOU--which is the most important truth of all.
(「自分にとっての」真実とは何か――それこそが最も大切な真実である)

――26個目の法則、「真実を認め、真実を伝える」より。世間一般で言われていることより、自分が見て、聞いて、感じたものを信じる。その態度こそ、自分にとっての豊かさや成功を定義し、揺るぎない魅力をつくっていくものなのだろう。

●Being human, to me, means being fallible yet at the same time always capable of growing into greatness.
(人間である、ということの意味は、失敗を犯す可能性をはらむ存在であるのと同時に、より素晴らしいものへと成長していくことができる存在でもある、ということだと思う)

――28個目の法則、「ありのまま、人間らしくいる」より。人間だから失敗して当たり前、と開き直るのではなく、自分の弱さにも責任を持ったうえで、人生を前向きに楽しむこと。また、他人の人間らしさにも同様に愛情をもって向き合うことについても説いている。

◇ ◇ ◇

価値観が多様化し、個々人が創造性を発揮して社会で活躍することが求められる時代、コーチングはますます注目されていくだろう。

誰かに教わる答えではなく、自分の正解を見つけていく過程で、その人ならではの魅力が宿り、成功が引き寄せられる。そう、「魅力の法則」(LAWS OF ATTRACTION)は、「引き寄せの法則」でもあるのだ。


SELFISH(セルフィッシュ)――
 真の「自分本位」を知れば、人生のあらゆる成功が手に入る
 トマス・J・レナード、バイロン・ローソン 共著
 糟野桃代 訳
 秦 卓民 監修
 祥伝社

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

トランネット
出版翻訳専門の翻訳会社。2000年設立。年間150~200タイトルの書籍を翻訳する。多くの国内出版社の協力のもと、翻訳者に広く出版翻訳のチャンスを提供するための出版翻訳オーディションを開催。出版社・編集者には、海外出版社・エージェントとのネットワークを活かした翻訳出版企画、および実力ある翻訳者を紹介する。近年は日本の書籍を海外で出版するためのサポートサービスにも力を入れている。
https://www.trannet.co.jp/

20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ブルガリア大統領、総選挙実施を発表 組閣行き詰まる

ワールド

プーチン氏がイラン大統領と電話会談、地域の緊張緩和

ビジネス

インド規制当局、取引決済の新方式提案 海外投資家の

ワールド

中国とカナダ、関税引き下げで合意 戦略的協力推進へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑について野次られ「中指を立てる」!
  • 2
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 5
    イランの体制転換は秒読み? イラン国民が「打倒ハ…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 8
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 9
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 10
    イランの大規模デモ弾圧を可能にした中国の監視技術─…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 8
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中