パーソナル・コーチングの父が最も伝えたいことは「セルフィッシュになれ」
あたかもコーチングのセッションを受けるのと同じように
本書ではほかに「未来というコンセプトを捨てる」「あらゆるものをシンプルにする」など、1章ずつ、全部で28の「魅力の法則」が述べられている。あたかもコーチングのセッションを受けるのと同じように、読者が本書を読み進めるなかで自らの内面に気づきを起こしていけるよう、あちこちに工夫が凝らされている。
例えば、各章の冒頭には「ニュアンスの違い」と題したコーナーがあり、その章の「魅力の法則」を理解するうえで重要になるキーワードをいくつか取り上げている。特徴的なのは、そのキーワードと混同しがちな言葉を必ずセットで並べ、対比の中で正確に意味をとらえさせようとしている点だ。
例えば、「自分の感受性を高める」という法則の章では、「フィーリング」と「感情的な反応」を比較し、自分の心が揺れるときの状態がどちらに当てはまっているのか、読者に深い内省を促している。
さらに、「自分の人格を徹底的に磨くための人格チェック100」といった診断テストやワークも収録されている。実際に取り組んでみれば、自分の現在地を知り、理想の状態へ向かう行動をデザインするコーチングのプロセスを、より具体的に追体験することができるだろう。
印象的なセンテンスを対訳で読む
●Until your needs are met, you really can't make the most of what God gave you.
(「ニーズ」の部分が満たされない限り、天からの贈り物である自分の才能を本当の意味で活かすことはできない)
――13個目の法則、「これを最後に自分のニーズを完全に満たし切る」より。自分が自分であるために必要な「ニーズ」に、人はなかなか気づかないもの。欠けたニーズをかりそめに埋めようとするのではなく、その存在を正面から認め、尊重することで、自分の魅力を発揮する基盤が整っていく。
●what is true FOR YOU--which is the most important truth of all.
(「自分にとっての」真実とは何か――それこそが最も大切な真実である)
――26個目の法則、「真実を認め、真実を伝える」より。世間一般で言われていることより、自分が見て、聞いて、感じたものを信じる。その態度こそ、自分にとっての豊かさや成功を定義し、揺るぎない魅力をつくっていくものなのだろう。
●Being human, to me, means being fallible yet at the same time always capable of growing into greatness.
(人間である、ということの意味は、失敗を犯す可能性をはらむ存在であるのと同時に、より素晴らしいものへと成長していくことができる存在でもある、ということだと思う)
――28個目の法則、「ありのまま、人間らしくいる」より。人間だから失敗して当たり前、と開き直るのではなく、自分の弱さにも責任を持ったうえで、人生を前向きに楽しむこと。また、他人の人間らしさにも同様に愛情をもって向き合うことについても説いている。
価値観が多様化し、個々人が創造性を発揮して社会で活躍することが求められる時代、コーチングはますます注目されていくだろう。
誰かに教わる答えではなく、自分の正解を見つけていく過程で、その人ならではの魅力が宿り、成功が引き寄せられる。そう、「魅力の法則」(LAWS OF ATTRACTION)は、「引き寄せの法則」でもあるのだ。
『SELFISH(セルフィッシュ)――
真の「自分本位」を知れば、人生のあらゆる成功が手に入る』
トマス・J・レナード、バイロン・ローソン 共著
糟野桃代 訳
秦 卓民 監修
祥伝社
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トランネット
出版翻訳専門の翻訳会社。2000年設立。年間150~200タイトルの書籍を翻訳する。多くの国内出版社の協力のもと、翻訳者に広く出版翻訳のチャンスを提供するための出版翻訳オーディションを開催。出版社・編集者には、海外出版社・エージェントとのネットワークを活かした翻訳出版企画、および実力ある翻訳者を紹介する。近年は日本の書籍を海外で出版するためのサポートサービスにも力を入れている。
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