最新記事

株の基礎知識

「コロナ禍でアメリカ市場が弱気相場入り」が意味するもの

2020年4月3日(金)19時55分
佐々木達也 ※株の窓口より転載

それでは強気相場とは

一方で強気相場とは、こちらも明確な定義はありませんが、概ね弱気相場入りすることなく長期の上昇相場が続くことを指しています。

ダウ平均株価やS&P500などのアメリカの主要株価指数は、リーマンショック後の2009年3月から2020年2月まで、約11年間、弱気相場入りすることなく右肩上がりの強気相場を続けていました。この間にダウ平均株価は、6,547ドルから29,551ドルへと約4.5倍になっています。

kabumado20200403covid19-chart2-B.png

史上最長の強気相場が続いた理由は解釈が分かれますが、リーマンショック後に米FRBや欧州ECB、日銀など先進国の中央銀行が景気対策のために行ってきた量的緩和政策により供給されたマネーが、景気や金融市場の下支えを続けてきたことが大きいだろうと筆者は考えています。

また、過去の景気回復局面に比べてインフレ上昇率が低かったことも、強気相場が継続した理由のひとつとして挙げられるでしょう。

■史上最長の強気相場の背景にあるもの

経済のセオリーのひとつとして、景気の落ち込みを支えるための金融政策によって景気が回復すると、需要が増加して物価が上がるため、インフレ率が上昇します。インフレ率が過度に上昇すると、賃金が同じ場合は消費者の購買力が実質的に低下します。また、コスト増加により企業の利益を圧迫します。

このようなインフレによる悪循環を回避するために、中央銀行は景気の過熱を抑えるべく金利を引き上げたり、量的緩和を停止して市中のマネーを回収するなど、インフレを抑えるように金融政策を変更します。過去においては、こうした金融引き締めによって過熱していた景気にブレーキを適度にかけていたのです。

しかし、リーマンショック以降の11年にわたるアメリカの長期の景気回復局面では、金融緩和や利下げの効果により雇用が回復し、賃金もゆるやかに上昇しました。その結果、消費や住宅投資も堅調に推移しましたが、過去に見られたような景気回復に伴うインフレ率の急上昇も起こらなかったため、経済の温度が適温に保たれた、と考えられています。

この、いわゆる「適温相場」の継続によってアメリカ株は、ヨーロッパ債務危機や中国の景気のスローダウン、米中貿易摩擦などの外部環境の悪化による調整が途中あったものの、長期的な強気相場が続いていました。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

最近の急速なウォン安・円安、深刻な懸念共有=日韓対

ワールド

米戦略石油備蓄の第1弾、来週末までに供給 8600

ビジネス

日立とGEベルノバ、東南アジアで小型モジュール炉導

ワールド

米商務省、AI半導体輸出の新規則案を撤回 公表から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 3
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革命をもたらす「新世代ドローン」とは?
  • 4
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 7
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈…
  • 8
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 9
    『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントに…
  • 10
    ファラオが眠る王家の谷に残されていた「インド系言…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 8
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中