最新記事

トレーニング

囚人コーチが教える最強の部屋トレ 自重力トレーニングの驚くべき効果とは?

2020年3月24日(火)17時20分
ニック・コリアス

自重力トレーニングの世界に君臨するこの純粋主義者は、昨年(2018年)『Convict Conditioning DVD シリーズ』をリリースしている。サンフランシスコ湾に浮かぶ脱出不可能な監獄島、アルカトラズで撮影したものだ。

シリーズでは「ビッグ6」のうちの5つ(ハンドスタンド・プッシュアップは未発売)が取り上げられ、「ビッグ6」各動作の10ステップが、映像とイラスト付きのマニュアルで説明されている。

ウェイドはインタビューを受けることがあまりない。しかし、(取材当時)執筆中だった『Convict Conditioning 3』(邦訳版『プリズナートレーニング  実戦!!! スピード&瞬発力編』山田雅久訳、CCCメディアハウス、2019年)の作業を中断し、「どこにでも持ち運べる究極のバーベル」について、また、Bodybuilding.comの寄稿者でもあるアル・カバドロと最近立ち上げたワークショップ(プログレッシブ・キャリステニクス〔漸進的に負荷を上げていくキャリステニクス〕検定)についてメールを通じて答えてくれた。

◇ ◇ ◇

――私たちのほとんどは「キャリステニクス」という用語を知っています。しかし、プルアップからジャザサイズ(ダンス、筋力トレーニング、音楽を組み合わせたトレーニング)まで、人によって思い浮かべるものが違います。あなたにとってそれは何を意味し、また「プログレッシブ」キャリステニクスとは何ですか?

私にとってのキャリステニクスは、体の動きに精通し、それを制御する技術のことだ。それ以外の何物でもない。

キャリステニクスで動かすのは自分の体であり、バーベル、ダンベル、マシン、あるいはテレビで紹介されるガジェットではない。つまり、フィットネスにおける周辺事項ではない。すべてのトレーニングの中心にあるものだ。

ヨガも柔軟性トレーニングも、あるやり方で体を動かす。ランニング、水泳、有酸素運動も同じだ。それらはキャリステニクスと言える。

バランストレーニングや逆立ちもそう。アジリティ(俊敏な転換能力)ワーク、タンブリング(床の上で跳躍や回転を行う運動)、ジャンプ、フリップ、キック。すべて体重を用いて体を動かすことで筋力を高める動作だ。それが筋力トレーニングの最も原初的なやり方であり、それがキャリステニクスだ。

プログレッシブ・テクニック(漸進的技術)を使えば、ばかばかしいほど簡単にできるリハビリレベルの動作から、人間のパワーと能力の限界ともいえる「holy shit」(ウソだろ?)のレベルまで、自重力エクササイズのシリーズが組み立て可能になる。

プルアップがいい例だ。ほとんどのコーチは、両腕でやる普通のプルアップを知っている。しかし、ジャックナイフ・プルアップやレッグアシステッド・プルアップのようなそれより簡単なバージョンを知っているだろうか? もっと難しいプルアップは?

バーベルやダンベルを使ったトレーニングと同じで、強くなりたかったら、ターゲットにしているレップ数をクリアし、そこからよりタフな世界へと向かう。

バーベルトレーニングなら簡単にそれができる。ウエイトを追加するだけでいいからだ。体の動かし方を変えるプログレッションを学ぶキャリステニクスでは、もっと知的なアプローチが必要になる。

私は、ワンアーム・プルアップに至るまでの30かそれ以上の異なるプログレッションを教えることができる。ワンアーム・プルアップが6回できるようになれば、腕相撲コンテストで平均的なボディビルダーの骨を折る筋力が身につくだろう。ビア樽のような上腕二頭筋も手に入る。

ヘナチョコが怪物に変わっていく。それがプログレッシブ・キャリステニクスだ。しかし、この種の技術を誰が教えてくれるというのか? それは監獄の外の世界でほとんど失われてしまった技術だ。

【参考記事】全否定の「囚人筋トレ」が普通の自重筋トレと違う3つの理由

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中