最新記事

キャリア

ハーバードの「キャリア相談室」で涙を流すエリートたちを見て...

2018年10月12日(金)17時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

写真はイメージです skynesher-iStock.

<エリートとされる人たちも、周囲の目を気にしすぎ、「自分が何をやりたいか分からない」と切実に悩んでいる。元ゴールドマン・サックス副会長のハーバード教授が教える、自分を知るための「ロードマップ」>

「世界のエリートはなぜ~」といったタイトルの書籍が増えている。「スタンフォード式」「ハーバード流」などと大学名を冠した書名も、昔ながらの定番と言っていい。

こうしたフレーズが興味を引くのは、その前提に「エリートは自分たちとは違う」という認識があるからだ。単に優秀なだけでなく、強い信念を持って、目標に向かって突き進む彼らから成功へのヒントを得たいと思うからこそ、その実像を垣間見たいという気になる。

では一体、彼らの実像はどんなものかと言えば、実は、彼らエリートもまた多くの悩みを抱えている。しかもそれは、「自分が何をやりたいか分からない」「何のために仕事をするのか分からない」といった、よくある(だが切実な)悩みだ。


「私は何をするために生まれてきたのか、誰か教えてくれないかなあ」
 誰かがそう言うのを、私は一体何度耳にしたことでしょうか?(246~247ページ)

そう語るのは、ゴールドマン・サックスで副会長まで務め上げたのち、ハーバード・ビジネススクールで教鞭を執るようになったロバート・スティーヴン・カプラン教授だ。

教授の著書『ハーバードの自分を知る技術――悩めるエリートたちの人生戦略ロードマップ』(福井久美子訳、CCCメディアハウス)からは、世界の超エリートと呼ばれる人々が、いかに自分の人生に迷い、悩み、進むべき道を見失って途方に暮れているかがよく分かる。

そういった意味で、他の多くの「エリート本」とは一線を画す内容だ。だが、そんな超エリートたちが途方に暮れる姿から、何を得られるのだろうか。

カウンセラーでもない教授のもとに、教え子でもない人がやって来る

ある大学院生は、複数の金融機関から正社員としての内定をもらったものの、どれもピンと来ないと悩んでいる。もしお金を気にしなくていいなら何をしたいかと聞かれて、彼は「どの仕事も受けない」と即答した。音楽が大好きだから、レコード会社か音楽業界の仕事を探す、と。

ある会社の営業部長は、順調にキャリアを築き、幸せな家庭に恵まれて、貯金も十分にある。にもかかわらず、深刻な悩みを抱えている。それは「自分に違和感を覚えている」ということ。達成感を得られず、満足感もない。そして、そのことを誰にも相談できずにいる――。

彼らがようやくその心の内をさらけ出したのは、ハーバード・ビジネススクールの研究室でのことだった。研究室の主であるカプラン教授は、じっくりと彼らの話に耳を傾け、どこに問題があるのか、どうやって解決していくのかを本人と一緒に探っていく。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インタビュー:日銀利上げ、円安とインフレの悪循環回

ビジネス

JPモルガン、26年通期経費が1050億ドルに増加

ワールド

ゼレンスキー氏、大統領選実施の用意表明 安全確保な

ワールド

EU、凍結ロ資産活用へ大詰め協議 対ウクライナ金融
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中