最新記事

投資の基礎知識

キャピタルゲインとインカムゲイン、どちらを狙うかで投資方法が変わる

2018年6月29日(金)18時21分
岡田 禎子 ※株の窓口より転載

erhui1979-iStock.

<投資で得られる儲け(利益)には2種類あるが、意外とわかっていない人も多い。「株式の売買によって得られる利益」か「株式を保有することで得られる、配当や優待による利益」か。それぞれ注意すべき点とは?>

株式投資で得られる儲け(利益)には2つの種類があります。それが「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」です。どちらの利益を狙うかによって、投資方法がまったく違ってきますので、それぞれの特徴と留意点を理解した上で、自分の目的に合った株式を選ぶ必要があります。

わかっているようで実はわかっていない人も多い、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」について、その違いとメリット・デメリットを見ていきましょう。

大きな利益も狙える「キャピタルゲイン」

まずはキャピタルゲインから解説しましょう。「キャピタルゲイン(capital gain)」とは「株式の売買によって得られる利益」のことで、「株で儲けた」と聞けば多くの人がこれをイメージするでしょう。購入したときよりも売却するときのほうが株価が高ければ、その差額が利益になります。これがキャピタルゲインです。

たとえば、スマートフォンのゲームアプリ「ポケモンGO」が米国で爆発的な人気になっていると聞いたSさんは、「よし! 任天堂<7974>の株を買おう!」とひらめきます。そして、20,000円の株価で100株、合計200万円で購入しました。その後、狙いどおりに株価は急上昇、Sさんは25,000円ですべての株を売りに出し(25,000円×100株=250万円)、250万円−200万円=50万円の利益を手にしました。

このように、株価が安い時点で購入し、値上がりした時点で売却すれば、利益を確定することができます。Sさんが手にした50万円の儲け(利益)がキャピタルゲインです。株価の値上がりによって大きな値幅で利益を狙うことができる点が、最大の特徴と言えます。当然、株価が値下がりすれば、購入時よりも安く売却しなければならず、その場合に出た損失のことを「キャピタルロス(capital loss)」と言います。

「キャピタル(capital)」とは「資本、資産」という意味ですので、その価値の上下によって生じる利益(あるいは損失)ということになります。したがって、株式の信用取引を活用して空売りで利益を得た場合もキャピタルゲインに該当します。

持っているだけで利益になる「インカムゲイン」

一方の「インカムゲイン」は、「株式を保有することで得られる、配当や優待による利益」のことです。株式を保有するだけで発生する収入(=インカム〔income〕)ということになりますので、まさに不労所得だと言えます。

インカムゲインのひとつである「配当」とは、企業が稼いだ利益の中から、株主に対して支払う(還元する)お金のことです。配当をするかしないか、どのくらいの配当にするかなどは、企業の経営方針で決まります。たとえ利益があっても、そのお金を設備投資などに回して配当はしない企業もあれば、利益がなくても配当金を支払う企業もあります。

(参考記事)ソフトバンク孫社長は年間94億円! 配当金で儲ける投資方法

海外では、インカムゲインというと配当を指しますが、日本では「株主優待」もインカムゲインに含まれます。企業が配当とは別に、自社製品やサービスなどを株主に提供するもので、株式を保有することに対する感謝の気持ちを表す、いわば「企業からのプレゼント」です。配当と同じく、経営方針によって決められますので、配当はないけれど株主優待を手厚くする企業などもあります。

さて、「キャピタルゲイン」「インカムゲイン」それぞれの特徴を確認できたところで、実際に株式投資する上での留意点を見ていきましょう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

韓国の尹政権、補正予算を来年初めに検討 消費・成長

ビジネス

トランプ氏の関税・減税政策、評価は詳細判明後=IM

ビジネス

中国アリババ、国内外EC事業を単一部門に統合 競争

ビジネス

嶋田元経産次官、ラピダスの特別参与就任は事実=武藤
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中