中国経済の「日本化」が、日本にもたらす大打撃
HANDLING THE CHINA RISK
リスクを軽減する「代替市場」
昨年の日本の対中輸出の中で、半導体を含む電気機器は22.6%、21.4%は半導体製造装置を含む産業用機械などの一般機械だ。中国経済の下振れは、輸出の減少を通じて日本の資本財メーカー、IT関連メーカーに大きな打撃となる。
さらに、中国経済の減速が日本企業の中国現地ビジネスに与える影響も考慮すれば、自動車、自動車部品、小売りなど、幅広い業種の日本企業に、中国経済減速の悪影響は及ぶことになるはずだ。これは、地政学リスクの高まりを合わせて、日本企業が中国ビジネスを大きく見直すきっかけとなる可能性もある。
中国経済の低迷が日本経済や日本企業に与える打撃は、長期化を覚悟する必要がある。日本では、バブル崩壊の後30年以上にわたって成長率のトレンドが低下を続けている。中国経済の低迷は、長期間、日本の雇用環境を損ね、個人にも中国経済悪化の痛みが実感されていくだろう。
中国ビジネスのリスク、いわゆる「チャイナリスク」については、政治的要素も高まる。今年7月には、スパイ行為を取り締まる改正「反スパイ法」が中国で施行された。スパイ行為の定義が曖昧な下、現地の日本人拘束が増加することが警戒される。また足元では、東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出に反発して、中国国内で日本製品の不買運動も生じている。
そうしたなか、リスクが高まる中国の代替地、いわゆる「チャイナ・プラス・ワン」を模索する動きが強まっている。足元では特にインドへの関心が高まる。今年、インドの人口は中国を抜いて世界一になったとみられ、高い潜在力が改めて注目されているのだ。日本企業では、スズキ、ヤマハなどが従来からインドを重要な生産拠点としてきたが、今後は中国ビジネスで知られてきた資生堂がインドでの販路拡大に本格的に乗り出す。「チャイナリスク」への対応から、日本企業のグローバル戦略の再構築が始まっている。
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