最新記事
インタビュー

「教養=知識量」の勘違い──AIに仕事を奪われない「転の思考」を身に着ける読書術とは

2023年5月1日(月)08時05分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

繰り返しますが、本は簡単に結論や答えを教えてはくれません。大切なのはファクトの先の「でも、だから何?」という問いです。私は、自分の思考の道筋、自分がどう動かされたのかを書いていきたい。それが書けないなら、文章を書く意味などないと思っています。

問いを立てる力を持つ。これは文章を書く仕事以外でも大切なことではないでしょうか。「転」の思考や発想を持つビジネスパーソンは、ChatGPTに仕事を奪われることはないでしょう。

──最後に改めて、近藤さんにとって教養とは何でしょうか?

『百冊で耕す』では太宰の「正義と微笑」を引き合いにしましたが、教養とは「cultivate」、つまり耕されること。教養のある人とは、「よく耕されている人」のことです。

私は鴨撃ちの猟師であり、米をつくる百姓もしていますが、米をつくるには土を耕すことが欠かせません。土をひっくり返し、空気を入れる。そうすると窒素と反応して有機物になって、それが栄養となります。すると米がよく育つ。これがカルティベートです。

自分の凝り固まった表層をひっくり返して、空気を入れる。文学でも音楽でも映画でも、それによってひっくり返されて、外部の空気があたって自分が変わる。そして読んでよかったな、聴いてよかったな、観てよかったな、という栄養物が生まれる。よく耕されている。よく耕されると、結果、「いい人」になる。いい人になること。人にやさしい人になること。これが私の考える教養の定義です。



kondo-20230427-150.jpg
近藤康太郎(こんどう・こうたろう)
朝日新聞編集委員/作家。著書に『三行で撃つ』(CCCメディアハウス)、『アロハで田植え、はじめました』(河出書房新社)他多数。朝日新聞紙面では、名物コラム「多事奏論」を担当する他、5月より「新聞記者の文章術」がはじまる。



特設サイト:近藤康太郎『百冊で耕す』『三行で撃つ』(※試し読みや関連記事を公開中)


百冊で耕す 〈自由に、なる〉ための読書術
 近藤康太郎[著]
 CCCメディアハウス[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、最高裁がトランプ関税に違法

ビジネス

米財務長官、「低採用・低解雇」脱却を楽観視 労働需

ビジネス

米コアPCE価格指数、12月は前月比0.4%上昇 

ビジネス

米GDP「かなり堅調」、インフレに懸念=アトランタ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由...「落葉帰根」派も「落地生根」派も
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 5
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 6
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 7
    ディープフェイクを超えた「AI汚染」の脅威──中国発…
  • 8
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 9
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 10
    生き返ったワグネルの「影」、NATO内部に浸透か
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 6
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 7
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 8
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中