最新記事
ビジネス

ビジネス人生はRPG どんなに経済が不安定でも生き残れる最強の職種とは?

2022年10月29日(土)15時32分
越川慎司(株式会社クロスリバー代表) *PRESIDENT Onlineからの転載
綱渡りをするビジネスパースン

成長を続けるビジネスパースンは、世の中の変化にアンテナを張り、自分の行動を少しずつ変えていく…… YinYang - iStockphoto


これから社会に出る人はどのようにキャリアを築いていけばいいのか。800社超、17万人のビジネスパーソンの働き方改革支援をしてきたクロスリバー代表の越川慎司さんは「今後のビジネスシーンはオープンワールドRPG化します。国境や言語の壁がなくなり、どこにでも行ける広大なフィールドで、自ら探索し、自ら課題を設定しながら、目指すキャリアゴールに向けて自律的に学習していく世界になるのです」という──。

※本稿は、越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

大企業が大企業のまま成長するのは不可能

「大企業に入れば、倒産することはない」
「我慢して働いていれば、給料は着実に上がる」

20年前は、私自身そう思っていました。大学を卒業した私は、新卒で日本の情報・通信分野の巨大企業に入社しました。

自分が望めば、そのまま定年まで居続けることもできたでしょう。しかし、大学を卒業するときには想像もしませんでしたが、転職や起業を経験し、マイクロソフトでは「働き方」がそれ以前のモデルとはまったく違ったものになっていく様子を肌身に感じる体験をしました。

そして2022年の現在、独立し、800社を超えるコンサルティングを通じて、「大企業が大企業のまま成長し続けることはもはや難しい」と確信するに至りました。

新卒の3分の1が辞める現実...

いまだに大企業に有利な点があるとすれば、それは、「学歴の高い従順な学生を採用しやすい」ということぐらいではないでしょうか。にもかかわらず、「いい大学」「いい会社」を目指す学生が後を絶ちません。

これは、就職活動に明け暮れる学生が悪いのではなくて、登り切った階段の先で「あがり」を迎えた親世代の固定観念の影響にほかなりません。

「いい大学、いい会社に入れば、安定・安心を手にして、"いい人生"を送ることができる」という画一的な価値観を刷り込まれてきた結果です。

一方で大企業の側は、その規模を維持・拡大していくために、俗に「3分の1が辞めてしまう」といわれる状態であるにもかかわらず、大卒新入社員を大量に採用し、過去の栄光にしがみつく年配社員に高額な給料を払い続けています。

これが果たして「安定した企業」といえるのでしょうか。残念ながら、これが現実なのです。

会社に一生涯の保証を求めるのは限界

事実、私が新卒入社した1996年の株式時価総額ランキングトップ10のうち、現在でも変わらず残っているのは何社かわかりますか。答えは「たった4社」。

日本の株式時価総額の上位であるトヨタ自動車の豊田章男社長が、2019年5月に「なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言し、大きな話題になりました。大企業に入ったら退職するまで安定していて、給料が着実に増えていくというモデルは、もはや現実的なものではなくなっているのです。

だからといって、「ベンチャー企業に入れ!」「自分で起業しろ!」と言いたいのではありません。

これからの時代を生きる学生、20代、30代は、自分のいるフィールドにおいて、正しいスキルアップの方法を身につけること、しかも、その努力を絶え間なく継続することが必要不可欠だ、と言いたいのです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=円が軟化、介入警戒続く

ビジネス

米国株式市場=横ばい、AI・貴金属関連が高い

ワールド

米航空会社、北東部の暴風雪警報で1000便超欠航

ワールド

ゼレンスキー氏は「私が承認するまで何もできない」=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中