気を付けるべき12種類のハラスメント、うち法律で規制されているのは3種類
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<パワハラとセクハラだけではない。多種多様なハラスメントが起こり得るが、それらの発生する理由や特徴、企業が取るべき対応策を専門家が解説する>
ハラスメントを「会社における大人のいじめ」と称する人もいます。ハラスメントは放置してしまうと会社が法的な責任を負うことになることや、被害を受けた従業員からの損害賠償請求を受けるおそれがあるだけでなく、周囲の従業員のメンタルにも悪影響を及ぼすため、経営への悪影響は軽視できるものではありません。しかしながら、ハラスメントが会社の成長にも悪影響を及ぼしていることはあまり浸透していません。
今回は、会社で起こりうるさまざまなハラスメントの種類と企業がとるべき対策について解説していきます。無意識的なハラスメントを防ぐため理解を深めていきましょう。
ハラスメントのリスク
2020年6月1日に、「労働施策総合推進法」、通称「パワハラ防止法」が施行されました。ひと昔前に比べればハラスメント問題が個の問題ではなく、会社全体が取り組むべき経営課題であると捉えられるようになり、対策を行わなければならないという意識が高まっています。しかし、ハラスメントが会社の売上や利益など、会社の成長にも大きな悪影響を及ぼしている認識はあまり浸透していません。
被害者本人や周囲の従業員は、モチベーションの低下により生産性が低下します。また、被害者がメンタルヘルス不調によって休職や退職をするだけでなく、被害者が所属していた部署やチームにおいても連鎖退職が発生してしまい、会社の将来を担うはずであった優秀な従業員が退職してしまうおそれもあります。さらには、残された従業員が退職者の穴を補填するために過重労働に陥り、社内の労働環境の悪化、健康障害の増加に繋がるおそれも考えられます。このようにハラスメントが及ぼす悪影響は広範囲に波及するのです。
【参考】「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」/ 厚生労働省
ハラスメントが発生する原因
数多くの悪影響を起こすにもかかわらずハラスメントが発生してしまう理由には、"やってはいけないことを知らない場合"と"自身の言動がハラスメントに該当していることに気が付かない場合"があります。ハラスメントは意識的に行われる場合もありますが、無意識に行ってしまっている場合もあるのです。
職場で発生するハラスメントは、センシティブな問題が多く、周囲の従業員から加害者や加害者の上司などへの進言がしづらい場合が多いです。そのため加害者はその行為が客観的にみてハラスメントに該当する言動であることを自覚する機会がないという状態になります。
また、該当する行為には白黒明確な線引きがないため、人によって認識に差が生じがちです。「これくらいなら大丈夫」という思い込みなどが、無自覚なハラスメントを生み出しているのです。