最新記事

経営

気を付けるべき12種類のハラスメント、うち法律で規制されているのは3種類

2022年8月31日(水)11時00分
伊藤将人 ※経営ノウハウの泉より転載
セクハラ

Tony Studio-iStock.

<パワハラとセクハラだけではない。多種多様なハラスメントが起こり得るが、それらの発生する理由や特徴、企業が取るべき対応策を専門家が解説する>

ハラスメントを「会社における大人のいじめ」と称する人もいます。ハラスメントは放置してしまうと会社が法的な責任を負うことになることや、被害を受けた従業員からの損害賠償請求を受けるおそれがあるだけでなく、周囲の従業員のメンタルにも悪影響を及ぼすため、経営への悪影響は軽視できるものではありません。しかしながら、ハラスメントが会社の成長にも悪影響を及ぼしていることはあまり浸透していません。

今回は、会社で起こりうるさまざまなハラスメントの種類と企業がとるべき対策について解説していきます。無意識的なハラスメントを防ぐため理解を深めていきましょう。

ハラスメントのリスク

2020年6月1日に、「労働施策総合推進法」、通称「パワハラ防止法」が施行されました。ひと昔前に比べればハラスメント問題が個の問題ではなく、会社全体が取り組むべき経営課題であると捉えられるようになり、対策を行わなければならないという意識が高まっています。しかし、ハラスメントが会社の売上や利益など、会社の成長にも大きな悪影響を及ぼしている認識はあまり浸透していません。

被害者本人や周囲の従業員は、モチベーションの低下により生産性が低下します。また、被害者がメンタルヘルス不調によって休職や退職をするだけでなく、被害者が所属していた部署やチームにおいても連鎖退職が発生してしまい、会社の将来を担うはずであった優秀な従業員が退職してしまうおそれもあります。さらには、残された従業員が退職者の穴を補填するために過重労働に陥り、社内の労働環境の悪化、健康障害の増加に繋がるおそれも考えられます。このようにハラスメントが及ぼす悪影響は広範囲に波及するのです。

【参考】「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」/ 厚生労働省

ハラスメントが発生する原因

数多くの悪影響を起こすにもかかわらずハラスメントが発生してしまう理由には、"やってはいけないことを知らない場合"と"自身の言動がハラスメントに該当していることに気が付かない場合"があります。ハラスメントは意識的に行われる場合もありますが、無意識に行ってしまっている場合もあるのです。

職場で発生するハラスメントは、センシティブな問題が多く、周囲の従業員から加害者や加害者の上司などへの進言がしづらい場合が多いです。そのため加害者はその行為が客観的にみてハラスメントに該当する言動であることを自覚する機会がないという状態になります。

また、該当する行為には白黒明確な線引きがないため、人によって認識に差が生じがちです。「これくらいなら大丈夫」という思い込みなどが、無自覚なハラスメントを生み出しているのです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

韓国クーパン、顧客情報大量流出で11.8億ドルの補

ワールド

尹前大統領の妻、金品見返りに国政介入 韓国特別検が

ビジネス

日経平均は反落、需給面での売りが重し 次第にもみ合

ビジネス

午後3時のドルは156円前半、年末年始の円先安観も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    アメリカで肥満は減ったのに、なぜ糖尿病は増えてい…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中