最新記事

リモートワーク

在宅ワークは「気楽」な一方で「ストレスの宝庫」、学ぶべき「休む技術」とは

2021年12月17日(金)11時34分
flier編集部

フルリモートの人にのしかかる「見えないストレス」の正体

── たしかに「リモートワークは気楽だけれど孤独感を感じる」という声をよく聞きます。リモートワークの浸透で生じている新たな課題や悩みはありますか。

最近では診察にくる方のなかに、「ニューノーマルの働き方に慣れたので、元通りになるのを憂うつに感じている」という方もいます。一部の人には、不謹慎と思いつつも、コロナが終わってほしくないと感じる「コロナロス」が生じているように思えます。

リモートワークでは、満員電車での通勤や会議の移動もなくなり、上司とのやりとりなど人間関係の負担が和らぐというメリットがあります。この便利さに慣れ、コロナ禍を経て自分の本来大事にしたい価値観に気づくなど、学習効果も起きている。私自身も「もう元には戻れない」という気持ちです。

もちろんポストコロナでは、週5出社のワークスタイルに完全に戻ることはなく、リモートとリアルを組み合わせていく働き方になるでしょう。大事なのは、対面のコミュニケーションを望むかどうかには個人差があると知ることです。大まかに外向型と内向型の人がいるとしたら、外向型の人は「コロナの感染者数も減ってきたのでリアルで会おう!」と積極的に対面で会おうとすることが多いですが、内向型の人はこれを億劫に感じる傾向にあります。ですから、その人に合ったペースでリアルとオンラインを組み合わせられる柔軟性が大事といえるでしょう。

ただし、月に1度オフィスに行くか行かないかといったフルリモートの場合は留意点があります。外出を最小限にして日の光にあたることも、人と話す機会もほとんどない。そんな状況だと、睡眠時間は長くなってもその質が低下し、孤独感が募るなど、「見えないストレス」がのしかかってしまうのです。

── 自宅で一人で働くのが居心地よいといっても、「見えないストレス」には注意がいるのですね。たしかにリモートワークのチーム運営では、メンバーのメンタル不調や困りごとに気づきにくいと聞きます。そうした環境下で、マネージャー層や人事の方が意識するとよいポイントは何でしょうか。

オンラインで1対多の会議ばかりだと、コミュニケーションが疎かになり、親密感がなくなってしまいます。表情や身振りなど非言語的な要素が伝わりづらいためです。ですが、オンラインでも1on1ミーティングのように、1対1で話す機会をつくれば、相手の表情などに目を向けやすくなります。

そこで職場でも、マネージャー層が「気軽に1on1のアポをとってね」と周知することをおすすめします。オンラインのほうが気軽に短時間のアポをとりやすい面もあります。そうすることで、メンバーの不安を早めに解消でき、組織・個人のメンタルヘルスの維持につながるのではないでしょうか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スウェーデン、ウクライナに戦闘機「グリペン」輸出へ

ワールド

イスラエル首相、ガザでのトルコ治安部隊関与に反対示

ビジネス

メタ、AI部門で約600人削減を計画=報道

ワールド

イスラエル議会、ヨルダン川西岸併合に向けた法案を承
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 6
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 9
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 10
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 6
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中