空前の人気、ライターの魅力は仕事とプライベートを「分けない」働き方
彼/彼女たちに話を聞くと、仕事とプライベートに境目はありません。むしろ、仕事とプライベートを堂々と混同して、人生を楽しんでいるように見えます。そういう人たちは、プライベートでの関心ごとについて企画を立て、取材をしたり調べ物をしたりして、原稿を書く。また、仕事で得た知識をプライベートに活用して、生活を豊かにしていく。そういった働き方を、自然と選び取っているように見えます。
ライターという職業が、今の時代になって空前の人気を集めているのも、場所や時間を選ばない、自分の生活にフィットさせることができる職業だからかもしれません。
自由な働き方をするとは企画が立てられるということ
もちろん、フリーランスになれば、誰もが好きな仕事だけして食べていけるわけではありません。これはライターに限りませんが、フリーランスは「選ばれないと仕事ができない」。当たり前のことですが、これを見落として安易にフリーになった人は苦労します。
フリーランスが自由に決められるのは、仕事や働き方を自分で選ぶことまで。「好きな人と好きな仕事だけして貧乏してもいい」の価値観から、「苦手な仕事を受けてでも稼ぐぞ」の価値観まで、そのグラデーションのどこを選ぶか。その選択は自由ですが、一度引き受けた仕事に対しては求められる内容を納品する必要があります。
そこで、最近は自分のライター講座でも「いかに、選ばれ続けるライターになるか」と「いかに、企画を通せる人間になるか」といった、書くこと以外の技術を身につけることを重要視しています。
たとえば、ライターの場合、文章が上手いからといって売れっ子になれるわけではありません。これは、TOEICが満点だからといって、外資系企業で活躍できるとは限らないのと似ています。拙著、『書く仕事をしたい』でも触れましたが、書いて生きていくには、文章力「以外」の技術が8割を占めます。
そしてこれは、ライターに限ったことではなく、自分がやりたい仕事を増やし、心身ともに健康で楽しく稼ぐには、
●コンスタントに仕事を受注する営業力
●自分の興味を仕事に結びつける企画力
●納期を守るための物理的な工夫
●仕事相手と良い人間関係を築くコミュニケーション力
●disコメントや批判に対するメンタルの防御力
などが重要になってきます。
仕事とプライベートを切り分けないからこそ、プライベートを逃げ場、あるいはもう1つの世界として確保することはできません。だからこそ、いいことがあっても、悪いことがあっても、相対的には自分の人生のすべての時間を愛せるようになる工夫が必要です。
私はすべてのライター、ひいてはフリーランスで働く人たちが病まずに、できるだけ長く、稼ぎ、生きていければいいと考えています。そのための手段は、『書く仕事がしたい』に詳しく書きましたが、現在は、そういう働き方を選択しやすい時代になったと思っています。