最新記事

レシピ本

分量も分からないレシピ本なのに大好評! 滝沢カレン『カレンの台所』の魅力

2021年11月25日(木)18時17分
flier編集部

── カレンさんの世界観を本にするために、いろいろと工夫をされたのだと想像します。

「既存のルールはあえて取り払おう」と決めて制作しました。「正確においしくつくれること」を追求するなら、当然、材料の分量は「大さじ1杯」などときっちり書いたほうがいいでしょう。

でもこの本では、あえてそうした情報は省きました。カレンさんの物語に集中してもらうために。

また本をつくるときは、プロの校正さんにお願いして、正しい日本語に整えるのが一般的です。でもそれも最低限にし、カレンさんの物語をできる限りそのまま残しました。

── 読者からは、どのような反響がありましたか?

この本のターゲットとして想定していたのは、料理をしたことがない人や、はじめて一人暮らしをする人。ですが結果的には、老若男女、幅広い層の方が手に取ってくださったようです。

料理のベテランであろう主婦の方からの「料理を作るのは本来楽しいのだということを思い出させてもらいました。」というコメントに、胸が熱くなりました。

「ターゲット:全員」という本は、狙ってつくれるものではありません。たくさんの方に手に取ってもらえて本当にうれしかったですし、カレンさんも驚いていらっしゃいました。

とにかく「わからないこと」に自信があるんです

── 大川さんが編集者になった経緯をお聞かせいただけますか。

実は、はじめは編集者になりたかったというより、サンクチュアリ出版に入りたかったんです。私が所属しているサンクチュアリ出版は、「本を読まない人のための出版社」をスローガンに、発行点数を年間12冊に絞って、丁寧な本作りを徹底している個性的な会社です。そんなサンクチュアリ出版の本を読んだことが、編集者になるきっかけでした。

── 「編集者になりたい」ではなく「サンクチュアリ出版に入社したい」という志望動機だったんですね。きっかけになったのは、なんという本ですか?

『毎日が冒険』(高橋歩)です。この本が、北海道の田舎で暮らしていた高校生の私には、とにかく刺激的で......。当時、上京の背中を押してくれたのもサンクチュアリ出版の本でした。本の出会いひとつで人生は変わるというのをリアルに感じて、それが衝撃で。自分もサンクチュアリ出版の本作りに携わってみたいと思いました。あとは直感的に、「もしこの会社に入れたらおもしろい人生になる気がする」と思ったのもあります(笑)。

── 運命の出会いだったんですね! 編集者になる前、広報を担当されていた時期もあったとうかがいました。

編集アシスタントとして入社し、途中から広報を兼任させていただきました。

書籍編集者がどんな仕事かもわからないまま入社したんですが、サンクチュアリの本づくりを目の前で見ているうちに「書籍づくりってすごい」「自分もやってみたい」と考えるようになり、正式に編集部所属になりました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ大統領、防空強化の必要性訴え ロ新型中距

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中