パナソニックが狙う、北米ソーラー事業の次の一手
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HIT+N340は「多くの他社製太陽電池よりもエネルギーコストを削減し、住宅の価値を高める」だけでなく、効率や性能、信頼性、耐久性に優れていると評価。EverVolt蓄電システムについては、太陽電池システムが停電などでシャットダウンした際にも電力を供給できることなどが高評価の要因となった。
また、サステナビリティーの専門メディア『Treehugger』でも、既存の太陽電池システムと互換性があり、設置が最もしやすいとしてEverVoltが「2021年のベスト家庭用蓄電システム6選」にランクイン。環境メディア『EcoWatch』でも、温度上昇による性能低下が少ないという高温特性が認められ、HITが「家庭用太陽電池ベスト10」に選出された。
今後の北米事業でカギを握る、日本の「スマートHEMS」
今後、太陽電池の生産を外部に委託するにしても、パナソニックのアメリカでのソーラー事業はどのような展開を見せるのだろうか。
そのカギを握るのは、日本で普及が進んでいるHEMSだ。
HEMSとはHome Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)の略で、家庭で使うエネルギー(電力量)を見える化し、節約するためのシステムを指す。家中の機器を一括してコントロールするなどして、エネルギーマネジメントを最適化。HEMSの中でも重要な役割を担うのが、太陽電池と蓄電システムだ。
パナソニックではHEMSをさらに進化させた「スマートHEMS」を提唱。IoTやAIに対応するもので、AiSEG2と呼ばれるパナソニック独自の中核機器がさまざまな機器と連携したり、スマートフォンのアプリを使用したりすることで、家電などを便利にコントロールすることができる。
例えば、住宅全体の使用電力量があらかじめ設定した日割り目標値を超えると、AiSEG2対応のエアコンや照明、床暖房を自動でコントロールし節電を行う。
また、AiSEG2が天気予報を確認し、翌日に太陽光発電ができると判断した場合は、夜間の給湯器の沸き上げ量や電気自動車の充電量を減らし、翌日の太陽光発電で沸き上げ・充電をするなどして電力を賢く活用することも可能だ。
今後のアメリカでの戦略では、太陽電池や蓄電システムを含めた「スマートHEMS」のようなエコシステム全体を販売していくものと思われる。もともとスマートハウスの概念は1980年代にアメリカから広まったことを考えると、「スマートHEMS」はアメリカの市場とも親和性が高いだろう。
前述した『Solar Power World』の記事でも、セティ氏は「私たちはもはや太陽電池のメーカーではない。太陽電池や蓄電システムなどのエネルギー製品とソリューションを設計するエネルギーソリューションのプロバイダーとして、AIで制御する最高級のエコシステム提供を考えている」と答えている。