最新記事

エネルギー

世界情勢と経済の今が分かる、教養としての「エネルギー」が学べる3冊

2021年11月30日(火)18時15分
flier編集部
エネルギー

William_Potter-iStock

<世界の政治だけでなく、経済、さらには家計にまで大きく影響するエネルギーと気候変動を理解するためにflier編集部がイチオシする3冊>

数多くの本を紹介し、またその内容を要約するサービスを展開している「flier」の編集部がオススメする「要約の達人が選ぶ、今月の編集部イチオシ!」コーナー。11月は「エネルギー・気候変動」に焦点を当てた3冊を紹介する(この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です)。

◇ ◇ ◇

今回ピックアップしたのは、年々関心が高まっているエネルギー・気候変動に関連したテーマの書籍です。

石油などのエネルギー資源に乏しい日本は、地球温暖化対策を背景に、化石燃料への依存率を低減させていく一方、再生可能エネルギーの導入を加速させていく姿勢を鮮明にしました。しかし世界を見ると、欧州を中心により思い切った方向へ舵を切っている国もあり、日本は諸外国の情勢と資源小国という国内事情を両にらみしながらの、難しいかじ取りを迫られています。

ビジネスはもちろん、食料品やガソリンの値上がりといった身近な変化とも深く関係するエネルギーのダイナミズムについて、3冊を通じて感じ取っていただければ幸いです。

ゼロからわかるカーボンニュートラル

211127fl_edi02.jpg

『超入門カーボンニュートラル』
 著者:夫馬賢治
 出版社:講談社
 flierで要約を読む

まずご紹介するのは地球温暖化問題の理解を助ける『超入門カーボンニュートラル』です。11月にCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)が英国で開かれ、話題となったのは記憶に新しいところですね。本書は、その会議場の内外で、陰に陽にうかがえた各国の思惑、背景を知るのに適した一冊です。

著書はサステナビリティ経営・ESG投資コンサルティング会社を2013年に創業し、代表を務める夫馬賢治氏。超入門と題した本書は、「カーボンニュートラルとは何か?」「温室効果ガスとは」といった初歩的なことからかみ砕いて説明されており、予備知識ゼロからでも読み始められます。しかしながら、地球温暖化をめぐる昨今の世界的な危機の問題点を、鋭く深く突いています。

「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」という世界の科学者グループによる分析を通じ、温室効果ガス排出が地球温暖化の原因である確率は年々上がっている実情を紹介しつつ、私たちがとるべき対策として、気候変動を抑える「気候変動緩和」と、気候変動に耐えられる社会を作る「気候変動適応」の2つを挙げています。加えて、カーボンニュートラルを2050年に実現した世界の電源構成モデルなどを、国内外のシナリオを通じて示しており、現状分析から提言まで、幅広く扱っています。

カーボンニュートラルの達成には、再生可能エネルギーの推進が不可欠な一方、石炭などによる火力発電の割合はゼロに近づいていくと示す本書。併せて、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)の普及が効果的とも指摘しています。

こうした温暖化対策の現状や未来に関する理解を通じ、日本の課題や発揮できる強みがきっと見えてくるはずです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

世界の石油市場、26年は大幅な供給過剰に IEA予

ワールド

米中間選挙、民主党員の方が投票に意欲的=ロイター/

ビジネス

ユーロ圏9月の鉱工業生産、予想下回る伸び 独伊は堅

ビジネス

ECB、地政学リスク過小評価に警鐘 銀行規制緩和に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 8
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 9
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 10
    「ゴミみたいな感触...」タイタニック博物館で「ある…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中